- 継続的改善B2Bマーケティング戦略とは、リーンシックスシグマDMAICで作る変化に対応し続けることができる戦略です
- 4つの仕組みと20のプロセスで継続的にマネジメントし、最大効果最大効率でビジネスを成長させることができます
詳しくは以下のコラムで
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継続的改善B2Bマーケティング戦略の作り方
継続的改善B2Bマーケティング戦略は、DMAIC(ディーマイク)というリーンシックスシグマの手法を応用して作ります。
DMAICで作成すれば、どこが悪いのかを後からでも理解でき改善もしやすくなります。世の中の変化にあわせて継続的に改善できる仕組みが継続的改善B2Bマーティング戦略です。
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以下が継続的改善B2Bマーケティング戦略作成のプロセス(手順)です。DMAICの5つフェーズに14のプロセス(手順)があります。
継続的改善B2Bマーケティング戦略作成プロセスは図の左から右へ進みます。
- 定義(Define)フェーズであるべき姿・目標を定義し
- 測定(Measure)フェーズで現状認識、問題点の洗い出しを行い
- 分析(Analyze)フェーズで要因の絞り込み根本原因を特定し影響度から優先順位をつけ
- 改善(Improve)フェーズでプランを再設計し実行します
- 管理(Control)フェーズで効果を検証し組織が自発的に改善をし続けるよう定着させます
では継続的改善B2Bマーケティング戦略作成プロセス(ステップ)の詳細を順番に説明します。スタートは左端の「①あるべき姿」です。
定義フェーズ(あるべき姿を特定する)
定義(Define)フェーズでは、あるべき姿・目標を定義します。(継続的改善B2Bマーケティング戦略の作り方の図の①)、マーケティング戦略での“あるべき姿”とは、つまり企業のビジョンであり、“目標(ゴール)”とは企業の目標となります。
ですので定義フェーズでは企業のビジョン(あるべき姿)や目標(売上や利益といった数値でのゴール)を定める必要があります。マーケティング戦略とは、その定めた企業のビジョン(あるべき姿)や目標へ“どうやって行くのか”を示した方法いうことができます。
企業のビジョン(あるべき姿)・ミッション・目標は、VOC(Voice of Customer:顧客の声)のインプットを基本に、顧客の要求を期待以上に実現するための考え方であるはずです。
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マーケティング戦略とは簡単に言えば、 「誰に」、「何を」、「どうやって」 価値を提供できるかという仕組みです。ですから現状の 「誰に」、「何を」、「どうやって」 を最適化して、あるべき姿の 「誰に」、「何を」、「どうやって」 を作る事がマーケティング戦略なのです。
測定フェーズ(現状認識)
ここでは、現状を正しく認識して、問題点を洗い出し、その要因を絞り込んでいきます。 現状認識は3つのポイントから行います。
1つ目のポイントはSBU(Strategic Business Unit:戦略的事業単位)です。(図の②)
SBUとは言葉通り事業の単位で、企業活動を全体で一つとして考えるか、それともいくつかの別々の活動として考えるかということです。
ですからSBUを分けて考えた場合には、戦略もそれぞれのSBU単位で考える必要があります。
「誰に」、「何を」、「どうやって」 の「誰に」が他と違っていたり(つまり市場やカスタマーが違っている)、「何を」が他と違っていたり(つまり商品やサービスが違っている)、「どうやって」が他と違っている(つまり提供する方法が違っている)場合には、SBUとして分ける必要があるかもしれません。
多くの場合SBUは市場(顧客)×商品(サービス)マトリックスで考えることが出来ます。企業活動を全体で一つとして考えた方が良いか、ビジネスユニット(BU)としていくつかに分けて考えた方が良いかを決める訳です。
現状認識として現在はSBUが分かれていないのか、分かれているのかを理解しましょう。 分かれていないのであれば(分ける必要がないのであれば)、「誰に」、「何を」、「どうやって」価値を提供するかは一つで考えます。つまり戦略はひとつです。
反対にSBUが分かれているとしたら、どのように分かれているかを正しく理解する必要があります。それぞれのSBUの売上や規模、拡大しているのか(縮小しているのか)などの現状を理解して、限りある資源を効果的に投資するためにも、今のSBUの組合せ(SBUミックス)を見直す場合があるかもしれません。
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現状認識2つ目のポイントは外的要因です。(図の③)
(ここからはSBUが分かれている場合には、それぞれのSBUごとに現状認識をします)
外的要因とは、企業の戦略や業績に大きな影響を与える外部からの原因で、企業自身でコントロールをする事が難しい部分です。
具体的には遠隔環境や、市場環境、経営環境、そして市場性があります。外的要因の現状を正しく認識しましょう。
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現状認識3つ目のポイントは内的要因です。(図の④)
内的要因は戦略や業績に大きな影響を与える内部からの原因で、企業自身でコントロールをが可能な部分です。具体的に「誰に、何を、どうやって、価値を提供しているのか」を理解しましょう。
まず大枠を企業のパフォーマンス、つまり売上げの構成を見ましょう。売上は以下のように分解できます。
売上げ(Sales)=カスタマー数×平均購入単価(AOV)×平均購入頻度(AOF)
このように分解することによって、売上が顧客数、購入単価、購入頻度のどの要因にもっとも影響されているかを知ることが出来ます。
顧客数は、主に「誰が」、購入単価は「何を」、購入頻度は「どうやって」を理解する手掛かりになります。まずは大枠でパフォーマンスを理解しましょう。
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パフォーマンスの概要がわかったら、「誰に」、「何を」、「どうやって」価値を提供しているのかの「誰に」の現状を知りましょう。
様々な角度から顧客を知ることができます。そのために必要なことは顧客データベースを構築することです。特にB2Bの場合には、カンパニーレベルの情報と、コンタクトレベルの情報を構造的に監視する必要があります。
顧客データベースがあってはじめて効果的な分析が可能になります。以下に代表的な分析方法を紹介します。
- 顧客プロファイル分析(業種や職種などによる属性分析で顧客の特徴を知る)
- パレート分析(どんな顧客が大きな売上や利益を生み出しているのかを知る)
- 購買プロセス分析(購買プロセスと、その中の登場人物を知る)
- RFM分析(購入のタイミング・頻度・金額から、優良顧客や離脱の状況を知る)
- ステイタス分析(潜在顧客・既存顧客・離脱顧客などの数と比率などを知る)
現状の顧客を様々な角度から分析することで、「誰に」が見えてきます。
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「誰に」、「何を」、「どうやって」価値を提供しているのかの「何を」は、どんな商品やサービスで価値を提供しているかということです。
どんな商品やサービスがどれだけの売上や利益を上げ、どういった価格帯の商品が一番売れ、どの商品がどの商品と一緒に買われているのかといった、商品・サービスや価格に関する現状を知ることです。
実は商品・サービスの現状を知っても十分ではありません。顧客に価値を生み出す仕組みやツールの組合せをマーケティングミックスといいますが、現状のマーケティングミックスがどのように構成され何が効果だしているかを理解することが大切です。
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「誰に」、「何を」、「どうやって」価値を提供しているのかの「どうやって」とは、どのようなマーケティングメッセージがどのようにお客様とコミュニケーションされ、そして実際にどのようにその商品やサービス・価値がお客様に提供されているかという現状の方法を知るということになります。
そして、その商品やサービス・価値がお客様に提供されているかは、顧客獲得の仕組みとしてのカスタマージャーニー、顧客育成の仕組みとしてのカスタマーストーリー、そして顧客維持の仕組みとしてのカスタマーエクスペリエンスの現状を理解することで知る事ができます。
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分析フェーズ (問題点の整理、根本原因、優先順位)
測定フェーズで現状認識して問題点を発見したら次は分析フェーズ(Analyze)です。
分析フェーズでは、測定フェーズで発見した問題点をグループに整理し、根本原因を特定し、戦略課題を出し、影響度を検証して優先順位づけをおこないます。 (図の⑤から⑦の部分)
まずは現状認識の3つのポイントである、SBUミックス、外的要因、内的要因のプロセスとデータに注目して問題点を発見します。(図の⑤)データを時系列でみて変化(下降しているところ、変化しているところ、異常値)を見つけ問題点を洗い出していきます。外的要因と内的要因に関しての問題点を発見するポイントに関しては以下を参照してください。
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測定フェーズではたくさんの問題点がでたかと思いますが、すべての問題を大きいものから小さいものまでひとつひとつ考えていくのは効率が良くありませんので、発見した問題点をグループ化します。
洗い出した問題点はポストイットやリストに描き出しましょう。同じような問題点をグループにまとめて、問題点のグループにステートメントをつけましょう。ステートメントとは問題点を端的に表した言葉です。
この作業を、ポストイットを使ってやる方法があります。ポストイットやリストに書き出した発見した問題点をグループわけしてまとめるのです。問題点の整理の仕方は以下のコラムを参照してください。
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問題点のグループとステートメントができたら、それぞれの問題点グループを根本原因(真因)のレベルまで分解します。
改善とはつまり問題の根本原因を取り除く事ですから、ここでしっかりと問題点の要因を根本原因まで分解しておくことが有効な対策を立てることにつながります。
ここではフィッシュボーン(特性要因図)といわれる手法を使って要因分析をしてみましょう。フィッシュボーンにまとめることで問題の本質が見えてきます。本質が見えてきたら根本原因を取り除く改善案を取り出します。(図の⑥)
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マーケティング戦略を策定する際には、問題点の解決策だけではなく戦略的な課題も見つけましょう。戦略的課題を取り出すために現状認識で理解した外部環境と内部環境をインプットとしてSWOT分析をします。
SWOT分析を行うことで自社の強み、弱み、機会、脅威を理解することが出来ます。
SWOT分析が終わったら、それをインプットとしてクロスSWOTを行います。SWOT分析とクロスSWOTを行うことで戦略課題を取り出します。(図の⑥)
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SWOTとクロスSWOTで戦略課題の特定ができたら、次に影響度を検証して問題点の改善策と戦略課題の優先順位づけをします。
優先順位を決めるためにインパクトエフォートマトリックスという方法を使います。 取り組むべき問題点の改善策や戦略課題を、顧客への影響度とそれにかかる工数から優先順位づけをします。 (図の⑦)
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改善フェーズ (プラン再設計)
次は改善フェーズです。(図の⑧から⑫の部分)
改善フェーズでは、問題点や戦略課題を最適化する改善案と戦略課題を絞り込み(図の⑧)、それを基本にして大きな視点からの課題(図の⑨)、新しいアイデアなど(図の⑩)を統合し、あるべき姿の「誰に」、「何を」、「どうやって」価値を提供しているのかプランを再設計します。
すでにフィッシュ―ボーンで問題点の根本原因と改善案(根本原因を取り除く案)、SWOTで戦略課題も取り出し優先順位を決めました。次は現状から少し離れて大きな視点でビジネス全体を考えます。 プラン再設計の前に、全体を俯瞰で見て大きな視点で考えるのです。
まずはSBUミックスについてです。測定、分析フェーズを経てUSBミックスの見直しが必要と判断した場合は、SBUミックス再構築を検討しましょう。そうでない場合は、この項目はスキップして結構です。
SBUの基本的な戦略としてセグメンテーションとマーケティングミックスのパターンを整理して、SBUとして分離する必要があるかを考えます。USBとして分離するかということは、つまり「誰に、何を、どうやって、価値を提供するか」の考え方を分離する必要があるかないかを判断することになります。
さらに商品・市場マトリックス(アンゾフマトリックス)を使って、市場「誰に」、とサービス「何を」の観点からそのSBUをどのように展開するのかをイメージしてみましょう。
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最終的にB2Bマーケティング戦略を再設計する前に、より大きな視点でビジネス全体をみてみましょう。いくつかの視点を紹介します。(図の⑨)
まず戦略の基本的な考え方として、マイケル・ポーターの3つの基本戦略という考え方があります。これは自社が属する市場の中で持続できる競争優位を築くためには大きく3つの戦略にわかれるというもので、その3つは コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略となります。
さらに集中戦略はコスト集中と差別化集中にわけることができるというものです。自社の戦略の方向を考えてみましょう。
次に大枠の戦略(グランドストラテジー)について考えてみましょう。大枠の戦略の考え方と、どのような戦略を取るのかを判断する方法を2つ紹介します。 1つはSWOTで行った自社の強み弱みと内部リソース外部リソースの活用からとるべき戦略を判断するグランドストラテジーセレクションマトリックスという方法です。もうひとつは、市場成長率と競合状態からとるべき戦略を判断するグランドストラテジークラスターという方法です。
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そして新しいアイデアを発想してみましょう。なぜならば現状認識は過去からの改善やアイデアであり、今までになかった全く新しいアイデアを発見することが難しいからです。アイデアの発想法にもさまざまありますが、いくつかを紹介します。(図の⑩)
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最終的に問題点や戦略課題を最適化する改善案、大きな視点からの課題、新しいアイデアなどを統合しマーケティング戦略を再設計し作りあげます。あるべき姿の「誰に」、「何を」、「どうやって」、価値を提供するかを再設計します。
戦略のの再設計に必要なインプット項目は以下に出揃いました。
- SBUミックス *再編成の必要があれば
- 改善案(問題点の根本原因と戦略課題を最適化)(図の⑧)
- 大きな視点からの発想(図の⑨)
- 新たなアイデア(図の⑩)
今まで取り出したこれらのインプットから「誰に」、「何を」、「どうやって」価値を提供しているか」を再設計していきます。(図の⑪)測定フェーズで行った現状の「誰に、何を、どうやって価値を提供しているか」を“あるべき姿”に変えるプランを作ります。
以下がB2Bマーケティング戦略の構成です。この流れでプランを再設計します。
まず「誰に」を決めます。
誰にとは顧客(市場)は誰かを決めて競合との差別化を図っていく事になります。セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング(STP)といわれる手順です。
簡単にいうと市場をいくつかの切り口でグループに分け(セグメンテーション)、そのなかから一つのグループを標的市場としてを選び(ターゲッティング)、選んだグループの中で競合とどのように差別化するかを決める(ポジショニング)ということを行います。
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「誰に」の次は「何を」を決めます。
「何を」とはどんな商品やサービスを提供して価値をあたえるかです。単に商品を売るのではなくサービス全体として価値を売り、どのようにその対価をいただくかが大切になってきています。
商品・サービスやその価格だけを決めれば良いということでなく、最終的には総合的なマーケティングミックスを作成するということになります。マーケティングミックスとは標的市場として設定した顧客(市場)のニーズやウォンツを満足させる為の価値を生む仕組みやツールの組合せです。
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最後は「どうやって」です。
「どうやって」とは、誰に(標的市場)、何を(どんな価値:マーケティングミックス)を提供するときに、どのようなマーケティングメッセージを、どのように伝えて(コミュニケーションして)、どのように実現する(サービスを届ける)かを決めるという事です。
つまり顧客獲得の仕組みとしてのカスタマージャーニー、顧客育成の仕組みとしてのカスタマーストーリー、そして顧客維持の仕組みとしてのカスタマーエクスペリエンスを再構築するということになります。
カスタマージャーニー、カスタマーストーリー、カスタマーエクスペリエンスを継続的に改善する方法は以下を参照してください。
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プランの再設計が終わり、あるべき姿の「誰に、何を、どうやって価値を提供するか」が決まったら、具体的なビジネスモデルとしてイメージしてみましょう。イメージ化することで頭の整理が出来ますし、企業内のコミュニケーションの役にも立ちます。いくつかの方法を紹介しますので参考にしてください。
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あるべき姿を実現するマーケティング戦略が完成したら実行に移します。(図の⑫)継続的改善マーケティング戦略の作り方で行った、定義、測定、分析、改善各フェーズのポイントをまとめることでマーケティング戦略書を作成して社内に共有することで全社の進む方向をあわせます。
さらに再設計した、 「誰に」、「何を」、「どうやって」価値を提供するかを実現するための柱となる大枠の戦略プログラムをリストアップし、タイムラインを3年程度のタイムスパンで落としこみ戦略実行のシナリオを描きましょう。
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管理フェーズ(結果の検証、定着)
最後は管理フェーズです。(図の⑬⑭の部分)
マーケティイング戦略書に描いた戦略プログラムをプロジェクト化して実行します。それぞれのプロジェクトにおいても、目標(KGI)を決め、パフォーマンス指標(KPI)を使ってあるべき姿、目標に向かっているかの結果を検証します。
そのために改善後のコントロール手法の明確化にしましょう。コントロール手法が明確になったら、誰がいつどこをどのような頻度で戦略をチェックするかを決めます。「どこを」の部分は、測定で行ったSBUミックス、外的要因、内的要因(誰に何をどうやって価値を提供しているか)のプロセスとデータのどの部分を見るのかをきめると良いでしょう。
コントロール手法を決めたら、それに従い定期的にチェックします。そして問題があった場合は、同じようにDMAICの手法で改善します。
最終目標は全員が継続的改善視点をもって自発的に改善のサイクルを回すことのできる変化に強い組織を作る事であり、継続的改善が組織に根付いた状態にすることです。(図の⑭)これが市場の変化に対応する継続的改善B2Bマーケティングです。
変化する世の中、市場に対応するにはマーケティング戦略も継続的に改善する必要があります。これを可能にするのがこの継続的改善B2Bマーケティング戦略です。プロセスとデータから設計してあるので改善がしやすいのが強みです。
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