内的要因から問題点を発見するポイント(マーケティング戦略)

  • 内的要因から問題点を発見するポイントは、マーケティング戦略の問題点を発見することだ
  • それにより「誰に」、「何を」、「どうやって」の、現状を理解して根本原因を探す

詳しくは以下のコラムで

測定フェーズで現状を正しく知る

継続的改善B2Bマーケティングはリーンシックスシグマの改善手法であるDMAICという考え方を使います。
DMAIC手法とは経営の効率や品質向上を目指すプロセスイノベーションのための手法で、リーンシックスシグマの基本となるものです。

継続的改善B2Bマーケティングの測定フェーズ(Measure)では、現状を正しく認識して知ることによって問題点を洗い出します。

世の中は常に変化しています。企業が成長していくためは、企業をとりまく世の中のさまざまな変化に適切に対応していかなくてはなりません。そして変化に対応するためには、どんな変化に注意すべきかを知る必要があります。変化を理解することはマーケティング戦略を作る際にも必要です。

内的要因は外的要因と異なり、コントロールできる自分で変えることのできる部分であり、マーケティング戦略が大きな要素になります。つまり「誰に」、「何を」、「どうやって」価値を提供して対価をいただき利益をだしていくのか、それをどのように継続的に行っていくかというマーケティング戦略の現状を理解することになります。

ここでは継続的改善B2Bマーケティングの測定フェーズ(現状認識)において、内的要因から問題点を発見するポイントについてお話をします。

つまりマーケティング戦略の「誰に」、「何を」、「どうやって」の現状(AS IS)とあるべき姿(TO BE)とのGAPをデータとプロセスで論理的に考え問題点を見つけます。

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売上を「誰に」、「何を」、「どうやって」に分解する

大枠を理解して問題となっているのではないかという部分を発見し、そこから深堀していくという方法をとります。気をつけなくてはいけないのは、はじめからここが問題だと決めつけて対策を考えることです。根本原因はほかの部分にあるかもしれません。根本原因を理解しないで対策を打つと逆効果になる場合が多いので注意が必要です。

また勘で行うのもNGです。データをみて論理的に問題点を発見するのが基本です。そのために継続的改善B2Bマーケティングの測定フェーズ(Measure)では、現状を正しく認識して知ることによって問題点を洗い出します。

ではまずは大枠で現状を見ていきましょう。大枠で「誰に」、「何を」、「どうやって」の現状を理解する方法として数字で表せる定量的な方法と、必ずしも数字で表せない定性的な方法の2つをお話しします。

マーケティング戦略である「誰に」、「何を」、「どうやって」の現状を理解するために、まずは大きく現状を理解します。

まずは定量的な方法ですが、それは売上を分解する方法です。売上を分解するとは、売上を顧客数と単価と頻度に分解することです。売上=顧客数×平均購入単価(AOV)×平均購入頻度(AOF)に分解します。データで理解することで「誰に」、「何を」、「どうやって」の現状が見えてきます。

顧客数は、主に「誰が」であり、顧客が減っているのか増えているのか、なぜなのかといった原因が見えてきます。購入単価は「何を」であり、どのような種類の商品がどのくらい買われているのかが見えてきます。

購入頻度は「どうやって」であり、顧客の買う頻度から行動が見えてきます。

詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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VOCから現状を理解する

定量的にデータで現状を確認したら、定性的な方法で現状を確認しましょう。定性的な情報とはVOCです。VOCとはVoice Of Customerの略で顧客の声ということです。VOCをインプットとするのがリーンシックスシグマの基本であり、顧客の声は非常に重要なインプットとなります。

ただし注意するべきことがあります。それは、すべての顧客のあらゆる声をきいて対策を取るということではないということです。例えばたまにしか注文がない利益のでない顧客の声ばかりをきいて判断すると、会社の方向や提供する価値と逆の方向にいってしまうかもしれません。これではVOCを聞く意味がないのです。自社が提供する価値を理解し頻繁に購入してくれるいわゆる優良顧客の声を中心に聞くべきです。

もうひとつの注意点はバイアスをかけないということです。バイアスとはかたよりという言葉ですが、思い込みや先入観、偏見をもって声を判断しないということです。その意味では、営業マンが声を聴いてきてインプットするのはVOCで現状を判断するという目的からはよろしくありません。

というのは、営業マンはどうしても売上をあげたいので自分の担当顧客の思い通りにしようとするからです。例えば顧客が「もっと早く届けて」というと、営業マンは「お客様は納品スピードをはやめてといっている」というようなことになりますが、実は納期遅れをなくしてほしいということなのかもしれません。

ですのでVOCは間に人をはさまずに顧客から直接いただくのが原則です。直にアンケートをいただいたり、直接はいってきた声を集計したり、顧客満足度調査などからのインプットを参照したりするということです。

顧客の声を分析すると現状が見えてきます。何に満足して何に不満を持っているのかが見えてきます。自社の提供する価値の基本的な部分で問題があればすぐに改善が必要です。

私の経験上、不満として出てきやすいのはQCDといわれるQuality(品質)、Cost(価格)、Delivery(納期)などが多いようです。

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E2Eカスタマーエクスペリエンスのベンチマーク

「誰に」を詳しく見て問題点を発見するポイント

売上を分解して定量的なデータから現状を理解し、定性的な声であるVOCでさらに理解を深めたら、

「誰に」、「何を」、「どうやって」を深堀しましょう。

まずは「誰に」ですが、ここは顧客を分析するということです。

分析はデータを使って論理的に行います。そのためにはB2Bの特性を理解して構築したB2B顧客データベースが欠かせません。

データの構成が悪かったり、収集した情報が不足していたりバラバラだったり、定期的にメンテナンスをして新鮮な状態に保たれていなかったりすると、分析の結果にも影響が出ます。B2B顧客データベースとは、最大効果(売上)と最大効率(利益)を生み出すエンジンだともいえますので、B2B顧客データベース正しく設計し、収集し、メンテナンスする必要があります。

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ここからは、「誰に」に関して、私が行うべきと思う分析方法をご紹介します。

まずは顧客プロファイル分析です。顧客プロファイル分析とは顧客企業とそこにいる関係者を深く知るため分析です。今いる顧客はいったいどういう企業でどういう人なのかを理解するためのものであり、デモフィックデータといわれる人口統計データや、ファーモグラフィックデータといわれる企業に関する属性データや、サイコグラフィックデータといわれる社会心理学データ、そして行動データといわれる購入履歴やプロセスの関するデータから顧客の特徴を知るわけです。

こういった企業と個人の属性と行動を収集し分析することで、優良顧客を定義してターゲットとすることができます。顧客プロファイル分析について詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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次はパレート分析です。パレート分析とは、集中度をみるもので、顧客に限らず商品・サービスや業務などの集中度をみるのにも有効です。パレートの法則は80:20の法則と呼ばれるように、全体の80%程度の結果は、わずか20%程度の要因によって起こっていることが多いという法則です。つまり簡単にいえば売上の80%は20%の顧客が生み出すということです。

果たしてこれは自社にどの程度あてはまるのか、自社の80%の売上は20%の顧客が本当に生み出しているのか、その上位20%の顧客はどのような顧客プロファイルをもっているのかなどを知ることができます。

成長する企業にはメリハリは欠かせません。パレート分析を行うことで効果の高い上位に絞って優先度を決め、メリハリのあるリソース(人、モノ、金、時間)の配分をすることが可能になってきます。

パレート分析について詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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購買プロセス分析は、B2B特有の分析です。B2BとB2Cでは、購入する際に関わる人やプロセスがことなります。B2Bでは個人の目的ではなく組織の目的が優先され、購入の意思決定にかかわる人数が多くなり購買プロセスが複雑になるのです。

そのためB2Bの購買プロセスを考える際には、個人だけではなく企業内の個人がどのようにつながっているかを考えなくてはなりません。

組織の構成を考えて誰がキーマンなのかを考える必要があります。企業内の個人がどのように集まって企業体を構成しているのかを理解し、それぞれがどういった役割でかかわりあっているのかを確かめ、キーマンに対して適切なアプローチを行うことがB2Bでは重要になってきます。

必要な情報を収集してB2B顧客データベースに格納して、適切な項目で抽出することによって、適切なタイミングで適切なキーマンにアプローチすることが出来るわけです。

顧客企業がどのような購買プロセスになっていて、その購買プロセスの中でどのような構成員がどのように関係していることを知ることで、購買の流れと関係者の特徴を掴んだサクセスストーリーを作り、最適な人にアプローチすることができます。 購買プロセス分析について詳しくは以下のコラムをご参照ください

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RFM分析によって、顧客の購買パターンの分析をすることができます。RFMとは、Recency / Frequency / Monetary の3つの言葉の頭文字をとってつくられた言葉です。この3つの観点から顧客の購買パターンを分析するのがRFM分析とです。RFMのそれぞれ意味は以下です。

  • R(recency:最新購入日) 直近で最後に購入した日(最近購入しているか)
  • F(frequency:累計購入回数) 購入の頻度(どのくらいの頻繁に購入しているか)
  • M(monetary:累計購入金額) 購入した金額の合計(いくら多く使っているか)

これらの組み合わせによって購入パターンと顧客の状態をグループにわけることができます。

ビジネスを成長させるうえで顧客を維持するということはとても重要です。新規顧客を獲得するには、既存顧客をつなぎとめようとする場合の6倍から10倍の経費がかかるともいわれ、顧客の休眠を防ぎLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めるのは非常に価値のあることです。RFM分析により離脱する顧客のパターンを知り、最適な顧客維持のプログラムを開発することができます。

RFM分析について詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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「誰に」に関する分析の最後はステイタス分析です。ステイタス分析とは、ターゲット企業と人の状態を定義し、それぞれの数と移行率を知ることです。状態とは企業との関係レベルというようなもので以下の5つのスタイタス(状態)に分類することができます。

  • P(Prospect) :潜在顧客
  • C(Customer):顧客
  • L(Lapsed):休眠顧客
  • D(Dead):異動や退職などで存在しなくなった顧客(休眠顧客とは区別)
  • S(Specifire):実際に購入はしないが選定者や決定者といった購入要因者

これらのスタイタスを記録して管理することによって、それぞれのステイタスの人たちに最適なコミュニケ―ションを行うことが出来るようになります。

ステイタス管理はダイレクトマーケティングの基本であり、カスタマージャーニーを効果的に行うために必要です。これにより最大効果最大効率て顧客を獲得することができます。そしてステイタス管理を行うためにはB2B顧客データベースのマネジメントが欠かせません。

ステイタス分析について詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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ここまで、「誰に」という部分に関しての分析方法を見てきましたが、それぞれの分析は互いに連携しているのがお分かりになると思います。これらの分析から総合的に判断して「誰に」の問題点を発見します。

「何を」を詳しく見て問題点を発見するポイント

「何を」を見るということは、顧客に提供する価値を生み出す仕組み組合せをみるということであり、つまりマーケティングミックスの現状を見るということになります。

マーケティングミックスとは「誰に」で決めた標的市場となる顧客に対して、「何を」提供することによって価値を生み出す仕組みの組合せであり、以下4つの要素で構成されます。

  • 商品・サービスミックス
  • 価格ミックス
  • 流通ミックス
  • コミュニケーションミックス

このマーケティングミックスのそれぞれが価値を生み出す仕組みの組合せですが、これら「何を」の現状をみて問題点を発見するということになります。

マーケティンングミックスについて詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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マーケティングミックスの1つ目は商品・サービスミックスです。
そして商品・サービスミックスの以下の2のポイント(サブミックス)から現状をみます。

  • 商品
  • サービス

この商品・サービスミックスが想定通りに顧客に価値を届けているか、顧客が価値を感じているかという視点から現状を確かめます。売上や利益といった定量的なデータと顧客満足度調査などの定性的なデータの側面から、あるべき姿(TO BE)と現状のGAPをデータとプロセスで論理的に考え問題点を見つけます。

商品・サービスミックスについて詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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マーケティングミックスの2つ目は価格ミックスです。そして価格ミックスの以下の2のポイント(サブミックス)から現状をみます。

  • 価格設定
  • 支払い形式と方法

この価格ミックスが想定通りに顧客に価値を届けているか、顧客が価値を感じているかという視点から現状を確かめます。売上や利益に対する影響などの定量的なデータと顧客満足度調査などの定性的なデータの側面から、あるべき姿(TO BE)と現状のGAPをデータとプロセスで論理的に考え問題点を見つけます。

価格ミックスについて詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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マーケティングミックスの3つ目は流通ミックスです。そして流通ミックスの以下の3のポイント(サブミックス)から現状をみます。

  • 商的流通
  • 物的流通
  • 情報流通

この流通ミックスが想定通りに顧客に価値を届けているか、顧客が価値を感じているかという視点から現状を確かめます。QCD(品質/コスト/納品)などの定量的なデータと顧客満足度調査などの定性的なデータの側面から、あるべき姿(TO BE)と現状のGAPをデータとプロセスで論理的に考え問題点を見つけます。

流通ミックスについて詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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マーケティングミックスの4つ目はコミュニケーションミックスです。そしてコミュニケーションミックスの以下の3のポイント(サブミックス)から現状をみます。

  • マーケティングコミュニケーションミックス - 広告宣伝活動でのコミュニケーション
  • メディアミックス -  メディアを使っての販売促進活動でのコミュニケ―ション
  • 人的販売 -   人による販売活動でのコミュニケーション

このマーケティングミックスが想定通りに顧客に価値を届けているか、顧客が価値を感じているかという視点から現状を確かめます。費用対効果などの定量的なデータと顧客満足度調査などの定性的なデータの側面から、あるべき姿(TO BE)と現状のGAPをデータとプロセスで論理的に考え問題点を見つけます。

コミュニケーションミックスについて詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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ここまで、「何を」という部分に関して見てきましたが、それぞれのマーケティングミックスは互いに連携しているのがお分かりになると思います。これらの分析から総合的に判断して「何を」の問題点を発見します。

「どうやって」を詳しく見て問題点を発見するポイント

最後に「どうやって」ですが、ここは顧客獲得、顧客育成、顧客維持の各仕組みのプロセス(手順)の現状をみて問題を発見するということです。

  • カスタマージャーニー - 顧客獲得のプロセス、つまり「どうやって」お客様を獲得するかの仕組み
  • カスタマーストーリー - 顧客育成のプロセス、つまり「どうやって」お客様を育成するかの仕組み
  • カスタマーエクスぺリエンス - 顧客維持のプロセス、つまり 「どうやって」お客様を維持するかの仕組み

顧客獲得の仕組みであるカスタマージャーニー、顧客育成の仕組みであるカスタマーストーリー、顧客維持の仕組みであるカスタマージャーニー、この3つの仕組みはつながっています。

現状を理解するには、まず全体を俯瞰で見て、流れの障害となっているポイント(ボトルネック)を探します。大きくカスタマージャーニー(顧客獲得)、カスタマーストーリー(顧客育成)、カスタマーエクスペリエンス(顧客維持)それぞれのどこに問題があるのか、さらに各仕組みの中のプロセスのどこに流れの障害となっているポイント(ボトルネック)があるのかを理解します。そこから流れの障害となっているポイントをどんどん深堀して根本原因を発見します。

全体を流れプロセスとしてとらえる、そして論理的に改善を行えるのが継続的改善B2Bマーケティングの特徴であり強みです。3つの仕組みの全体像をプロセスとデータで論理的にとらえ、流入を増やし流出を減らして全体の顧客数を上げる、そのうえで顧客を育成してLTVを底上げしていくのが考え方です。

さらに詳しくは、以下のコラムをご参照ください。

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内的要因から問題点を発見するポイントは

内的要因から問題点を発見するポイントは、つまり「誰に」、「何を」、「どうやって」の変化に気がつくことです。

大枠で「誰に」、「何を」、「どうやって」の現状を理解して、「誰に」が正しく設定されているか、「何を」が正しく提供されているか、「どうやって」のプロセスのどこに流れの障害となっているポイント(ボトルネック)があるのかを理解します。

問題点を取り除いて、最適な「誰に」、「何を」、「どうやって」を再構築することが、つまりはマーケティング戦略を構築するということなのです。

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