インパクトエフォートマトリクスで優先順位を決める

  • インパクトエフォートマトリクスとは、顧客への影響度と工数で優先順位をきめる方法だ
  • それにより実行する順番と取り組み方を、関係者で合意して実行することができる

詳しくは以下のコラムで

課題に優先順位をつけるには?

フィッシュボーンでは、問題点の根本原因をみつけ戦略課題としました。
SWOTでは強みと弱み、機会と脅威を整理し、クロスSWOTから戦略課題を取り出しました。

根本原因と戦略課題を取り出したら次のステップはそれらの優先順位を考えて、マーケティング戦略に落とし込んでいくことです。

すぐに優先順位を決められれば良いのですが、関係者それぞれの立ち位置から意見が異なり、優先順位をなかなか決められないということがあるかもしれせん。 そこで論理的に優先順位づけをするためンパクトエフォートマトリックスという方法を使います。

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インパクトエフォートマトリクスとは

インパクトエフォートマトリックスは優先順位を決める際の判断基準のフレームワークです。インパクト(影響度)とエフォート(直訳すると努力ですが、かかる工数)をマトリックスにして優先順位を決めるというものです。

インパクト(影響度)をベネフィット(利益)と置き換えてベネフィットエフォートマトリックスという場合もあります。またインパクト(影響度)とエフォート(かかる工数)をそれぞれスコアリングして決めるやりかたもあります。

根本原因と戦略課題をこのインパクトエフォートマトリックスにプロットしていくことで、優先順位とアクションプランを区分していきます。それでは早速みていきましょう。

インパクトエフォートマトリックスの作り方

まず影響度とは問題点の根本原因を放置しておいた場合や、戦略課題を実行しない場合の顧客へあたえる影響度です。問題の根本原因はそのまま放置しておくとマイナスの影響がでて利益が減るでしょうし、戦略課題を実行しないことにより、本来は得ることのできる利益が得られないという影響がでてきます。

まずこの顧客の影響度を横軸にとります。一番左端が最も影響度が小さく、右にいくにしたがって大きくなり、一番右橋が最も大きくなります。

次にエフォートは内部の努力です。根本原因を取り除く改善案や戦略課題を実行するためにかかるであろう工数です。影響度の大きい小さいに関係なくそれぞれの会社の経営資源の状況によって、同じような内容であってもかかる工数は異なるかもしれません。

かかる工数は縦軸にとります。一番下端が最も工数が小さく、上にいくにしたがって大きくなり、一番上が最も工数がかかるということになります。そうすることで以下のようなマトリクスができあがります。

優先順位とアクションプラン

このインパクトエフォートマトリクスは大きく4つのエリアに分けることができます。エリアに分けることで優先順位と取り組み方(アクションプラン)の大枠をきめることができます。4つのエリアは以下のような意味をもちます。

  • Quick Win(図の①の部分)

ここは顧客への影響度が小さく工数もかからないので、パッとやって小さな成果をあげるエリアです。工数がかかりませんので各自が日常の中でパッとやってしまいます。

  • Just Do It(図の②の部分)

ここは顧客への影響度が大きく工数もかからないので、すぐに行動して大きな成果をあげるエリアです。工数がかかりませんので、さっさとやってしますいます。影響大ですぐできるのですから優先度はもっとも高くなります。

  • Parkin Lot(図の③の部分)

ここは顧客への影響度が小さいのに、大きな工数がかかるので当面手をつけないエリアです。(Do not) パーキングロットとはとりあえず置いておくものということで、課題として残しておきましょう。状況が変化し工数がかからずにできるようになったり顧客への影響度が大きくなったりした時点で再度考えます。

  • Project(図の④の部分)

ここは顧客の影響度が大きいのですが、同時に工数もかかるエリアです。多くの場合、実現するには部門を横断して取り組むことになるので、プロジェクト化する必要があります。プロジェクトの大きさや難しさからプロジェクトマネージャーやプロジェクトチームの構成も検討が必要です。マーケティング戦略などの策定を行う場合は、多くがこのエリアに入ってくることも多いので、このエリアの中での優先度も決めていく必要があります。

まとめると

  • Quick Win、Just Do Itは気づいた人がリードして手早く実行する
  • Parking Lotはやらない
  • Projectはプロジェクト化して実行する

インパクトエフォートマトリクスの活用事例

では実際の活用事例を紹介します。私は過去にアジアパシフィックチームで顧客体験を向上するための取り組みを行ったことがありました。顧客満足度やネットプロモートスコア(NPS)のインプットをベースにアジアのリーダで話し合い問題点を洗い出しました。その結果、大きく以下の8つの問題点が浮かび上がってきました。

  • Long lead time(納期が長い)
  • Price perception(価格が高く感じる)
  • Web search(Web検索が悪い)
  • Invoice with goods(請求書の同梱ができない)
  • Complaint handling(苦情の対応が悪い)
  • No cash on delivery(現金払い、代引きができない)
  • Poor Product offer(提供されている商品が悪い)
  • Do not meet promised date(約束した納期を守らない)

どれも大きな問題であり、さらに根本原因を深堀すべきものもありますし、アジアパシフィックでの議論なので、必ずしもアジアすべての国にあてはまらない国特有の内容も含まれています。

この時は、各国のリーダーがインパクトとエフォート(ベネフィット)を1から5にスコアリングして、それぞれの問題点を以下のようにインパクトエフォートマトリックスにプロットしていきました。
(ベネフィット=インパクトは横軸で1が最小で5が最大、エフォートは縦軸で1が最大で5が最小)

この図では右上のエリアにはいったものが重要課題です。この議論の後に重要課題を、アジアとグローバルのチームを巻き込む形でそれぞれをプロジェクト化して、難易度に応じてシックスシグマのブラックベルト、グルーンベルト、イエローベルトの人材をプロジェクトリーダーに指名し、プロジェクトを進めました。

最後に確認すべきこと

インパクトエフォートマトリックスで影響度と工数から優先順位をきめる際に注意点があります。いくら顧客へのインパクトが大きくても以下の項目に反するようであれば実行しないということです。それは、

  • 取り組みは会社のビジョン・ミッション・バリュー・戦略の方向性とあっているか?

会社のあるべき方向や戦略とあっていないのであれば、実行することはできません。

またプロジェクトをすすめる場合には、まず簡単に以下のようなプロジェクトチャーター(プロジェクト計画書)を書いて、目的や範囲、プロジェクトによって生まれる利益などを合意してから進めることが大切です。

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