継続的改善カスタマーストーリー
  • 継続的改善カスタマーストーリーとは、リーンシックスシグマDMAICで作る変化に対応し続けることができる顧客育成プロセスです
  • それにより、最大効果最大効率で攻めの営業活動を行うことができます

詳しくは以下のコラムで

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継続的改善カスタマーストーリーの作り方

カスタマーストーリーとは攻めの営業活動のことです。顧客育成の方法であり、最大効果効率で動く営業組織をつくり、ターゲットにしたカスタマーをリスト化して、提案、案件、見積り、受注へと最大効果最大効率で攻める営業プロセスです。

取引のある顧客相手の待ちの御用聞き営業ではなく、新しい見込み客を見つけ売上をあげる、あるいは今いる(既存の)顧客の中で売上を拡大できる可能性のある顧客を見つけ売り上げをあげる攻めの営業プロセスです。単に商品を売るのではなく、価値を売るための攻めの方法がカスタマーストーリーです。

高度成長期のような右肩上がりの成長が見込まれない今、訪問すれば案件をもらえた待ちの「御用聞き営業」ができる時代はもう終わりました。営業活動も勘ではなく、プロセスとデータで論理的に計画し効果効率をみて実行しなければなりません。

このカスタマーストーリーを変化に応じて継続的に改善できるように作り上げる方法が継続的改善カスタマーストーリーです。継続的改善カスタマーストーリーも継続的改善B2Bマーケティング戦略同様に、DMAIC手法を使って考えます。

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以下が継続的改善カスタマーストーリー作成のプロセス(手順)です。DMAICの5つフェーズに14のプロセスがあります。

継続的改善カスタマーストーリー作成プロセスは図の左から右へ(①から⑭へ)進みます。

  • 定義(Define)フェーズであるべき姿・目標を定義し
  • 測定(Measure)フェーズで現状認識、問題点の洗い出しを行い
  • 分析(Analyze)フェーズで要因の絞り込み根本原因を特定し影響度から優先順位をつけ
  • 改善(Improve)フェーズでプランを再設計し実行します
  • 管理(Control)フェーズで効果を検証し組織が自発的に改善をし続けるよう定着させます

では継続的改善 カスタマー ストーリー作成プロセス(ステップ)の詳細を順番に説明します。スタートは左端の「①あるべき姿」です。

定義フェーズ(あるべき姿を特定する)

定義(Define)フェーズでは、あるべき姿・目標を定義します。(継続的改善カスタマーストーリーの作り方図の①)

カスタマーストーリーの“あるべき姿”とは、「最大効果最大効率で攻めの営業活動を行うこと」です。つまりできるだけ低いコスト(リソース)で、できるだけ売上・利益の拡大の可能性(ポテンシャル)のある企業(大きな利益があがる)を攻め、最大の利益をあげることです。

カスタマーストーリーとは、ターゲットにした顧客を攻める営業プロセス(手順)で「リスト→提案→案件→見積り→受注の流れ」です。(流れのマイルストーンはビジネスモデルによって異なる場合があります)

営業プロセスであるカスタマーストーリーがない場合には新たに構築することになります。ある場合には現状の「リスト→提案→案件→見積り→受注の流れ」を最適化して、あるべき姿の「リスト→提案→案件→見積り→受注の流れ」を作ることが継続的改善カスタマーストーリー作成プロセスといえます。

今のカスタマーストーリーの現状を理解して、あるべき姿のカスタマーストーリーを作り継続的に改善するのです。

継続的改善カスタマーストーリーの目標(ゴール)は予算の達成です。(より高い売上と利益)

営業効果効率を高めるためには、売上に対する営業費(営業活動にかける費用)の比率(% of Sales=販売費÷売上)を下げながら、営業がターゲットとする1アカウントあたりの売上(Sales/アカウント=売上(利益)÷アカウント数)を上げる活動を行います。

営業マン1人当たりの売上(利益)を効果効率の指標に持つ場合もあります。

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測定フェーズ(現状認識)

ここでは現状を正しく認識して問題点を洗い出していきます。現状認識は3つのポイントから行います。1つ目のポイントは市場動向に関してです。(図の②現状認識市場動向)

まず標的にした市場が成長しているのか衰退しているかといった市場動向の現状を確認します。

市場動向は企業努力でコントロールすることが難しいので、グローバル企業であれば販売をしている各国のGDP(国内総生産:Gross Domestic Product、GDP)や鉱工業指数等をみてグローバル市場の動向などを確認しましょう。動向を天気図にした業界天気図も便利です。

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2つ目のポイントはパフォーマンスです。 (図の③現状認識パフォーマンス)

ここではのビジネスのパフォーマンス、つまり業績を理解します。業績の見方としてはいくつかありますが3つの見方で見てみましょう。

まずは過去3年程度の業績を成長率(売上、利益、コスト)の推移をみます。

それから市場・SBU別、顧客別、商品別、チャネル別、地域別などに分解した売上の構造、集中度を理解しましょう。

次に営業チームと個人の予算、実績と行動をみます。つまりチームと個人の活動の方向はあっているか(誰に何を売っている)営業マンの時間の使い方(何にどのくらいの時間を使っているか)を理解します。

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3つ目のポイントはプロセスです。(図の④現状認識プロセス)プロセスとは、カスタマーストーリーの流れです。

営業活動のプロセス(仕組み)であるカスタマーストーリーの流れ(リスト→提案→案件→見積り→受注)を良くして、できるだけ多くの機会をできるだけ早くリストから受注へと移動させるのがカスタマーストーリーのカギであり、これを最適化する活動が攻めの営業活動です。

カスタマーストーリーがどのくらい効率的に流れているか、ストーリーが止まってしまうボトルネックはどこかなどといったポイントを見ていきます。

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現状認識ができたら、次に問題点の発見にうつります。ここでは、現状認識の3つのポイント、市場動向、パフォーマンス、プロセス(カスタマーストーリー)の問題点を発見します。市場動向、パフォーマンス、プロセスの問題点発見のポイントに関して詳しくは以下をご参照ください。

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分析フェーズ (問題点の整理、根本原因、優先順位)

測定フェーズで現状認識して問題点を発見したら次は分析フェーズ(Analyze)です。

分析フェーズでは、測定フェーズで発見した問題点をグループに整理し、根本原因を特定し、戦略課題を出し、影響度を検証して優先順位づけをおこないます。 (図の⑤から⑦)

測定フェーズではたくさんの問題点がでたかと思いますが、すべての問題を大きいものから小さいものまでひとつひとつ考えていくのは効率が良くありませんので、発見した問題点をグループ化します。同じような問題点をグループにまとめて、問題点のグループにステートメントをつけましょう。ステートメントとは問題点を端的に表した言葉です。

この作業を、ポストイットを使ってやる方法があります。ポストイットやリストに書き出した発見した問題点をグループわけしてまとめて整理します。(図の⑤問題点の整理)問題点の整理の仕方は以下のコラムを参照してください。

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問題点のグループとステートメントができたら、それぞれの問題点グループを根本原因(真因)のレベルまで分解します。改善とはつまり問題の根本原因を取り除く事ですから、ここでしっかりと問題点の要因を根本原因まで分解しておくことが有効な対策を立てることにつながります。

ここではフィッシュボーン(特性要因図)といわれる手法を使って要因分析をしてみましょう。フィッシュボーンにまとめることで問題の本質が見えてきます。本質が見えてきたら根本原因を取り除く改善案を取り出します。(図の⑥根本原因)

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継続的改善カスタマーストーリーを策定する際には、問題点の解決策だけではなく戦略的な課題も見つけましょう。戦略的課題を取り出すために現状認識で理解した外部環境と内部環境をインプットとしてSWOT分析をします。SWOT分析を行うことで自社の強み、弱み、機会、脅威を理解することが出来ます。

SWOT分析が終わったら、それをインプットとしてクロスSWOTを行います。SWOT分析とクロスSWOTを行うことで戦略課題を取り出します。(図の⑥戦略課題)

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SWOTとクロスSWOTで戦略課題の特定ができたら、次に影響度を検証して問題点の改善策と戦略課題の優先順位づけをします。優先順位を決めるためにインパクトエフォートマトリックスという方法を使います。 取り組むべき問題点の改善策や戦略課題を、顧客への影響度とそれにかかる工数から優先順位づけをします。 (図の⑦影響度検証優先順位)

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改善フェーズ (プラン再設計)

次は改善フェーズです。 (図の⑧から⑫の部分)

最終的に問題点や戦略課題を最適化する改善案(図の⑧)、大きな視点からの課題(図の⑨)、新しいアイデア(図の⑩)などを統合しプラン(カスタマーストーリー)を再設計し作りあげます。あるべき姿のカスタマーストーリー(リスト→提案→案件→見積り→受注の流れ)を再設計します。

すでにフィッシュ―ボーンで問題点の根本原因と改善案(根本原因を取り除く案)、SWOTで戦略課題も取り出し優先順位を決めました。次は現状から少し離れて大きな視点でカスタマーストーリー全体を考えます。 いくつかの視点を紹介します。 (図の⑨大きな視点)

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次に新しいアイデアを発想してみましょう。なぜならば現状認識は過去からの改善やアイデアであり、今までになかった全く新しいアイデアを発見することが難しいからです。アイデアの発想法にもさまざまありますが、いくつかを紹介します。(図の⑩)

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これでプランの再設計に必要な項目は以下に出揃いました。

  • 問題点や戦略課題を最適化する改善案(図の⑧)
  • 大きな視点からの発想(図の⑨)
  • 新たなアイデア(図の⑩)

これらの今まで取り出したインプットからカスタマーストーリー(リスト→提案→案件→見積り→受注の流れ)を再設計していきます。(図の⑪)測定フェーズで行った現状のカスタマーストーリーを“あるべき姿”に変えていきます。

まずカスタマーストーリーの1つ目のプロセスは売上拡大の可能性(ポテンシャル)のあるカスタマーをリスト化し、アポイントをとって初回提案するというプロセス(アクション)ですが、ここを最適化します。(握手がプロセスと考えてください)

具値的には、集めるリスト(SQL)の質、初回アプローチの方法、アプローチのスクリプトを用意して、実際のアポイントメントをとってのカスタマーストーリーの提案、ヒヤリングによる情報収集などの行動を見直すことによって確度(CV率)を上げることです。

ポイントとしては価値提案をできるだけ高いマネジメント層に対して行う事です。

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カスタマーストーリーの2つ目のプロセスは提案を案件化に変するというプロセス(アクション)ですが、ここを最適化します。

提案から案件化

具値的には、案件の定義と見える化です。案件登録の際には定義(予算や角度など)を明確にして進捗を共有する必要があります。その上で、ヒヤリングによる精度の高い情報収集で、お客様へ対する提案を見直しすることなどによって、提案から案件への確度(CV率)を上げることです。

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案件の定義と見える化
ヒヤリング項目で案件角度を高める
引き寄せるコンテンツの作り方

カスタマーストーリーの3つ目のプロセスは案件をフォローし、提案と見積りの提示を行というプロセス(アクション)ですが、ここを最適化します。

案件を見積に変える方法はタイミングを逃さないフォローアップです。

具体的には、最初の「提案ヒヤリング」の際の先方からのフィードバック・反応やヒヤリングの内容を踏まえた上で、個社ごとの状況に応じた再提案を行います。

精度の高い情報収集から相手の立場に立った価値の提案(サクセスストーリー)を行う事でより大きな案件をとりにいきます。サクセスストーリーの作成手順や構成と提案の流れは成功のための非常に重要なポイントです。

サクセスストーリーには、実行した場合のベネフィットや事例とその証拠、プランの一部を選択できるなどの内容を盛り込むとさらに良いでしょう。

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SAITAの法則で顧客に行動を起こさせる
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カスタマーストーリーの4つ目のプロセスは見積りを受注に変える、クローズするというプロセス(アクション)ですが、ここを最適化します。

見積を受注に変えてクローズする方法は、提案後に内容の評価を受けて必要な条件・納期・価格などを詰めてお互いに合意をすることです。必要に応じて役員の同行やバックアッププラン(プランB)の提案なども必要になるかもしれません。

またいつまでたっても受注に至らない案件は一定期間で白黒をはっきりつけ案件管理から外します。可能性のない案件にリソースを使うのは避ける必要があるからです。

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ここれであるべき姿のカスタマーストーリー(リスト→提案→案件→見積り→受注の流れ)の再設計が完成しました。完成したら実行します。 (図の⑫)

実行する際は、再設計の規模の大きさ、レベルに応じて適切な方法をとりましょう。

たとえばマーケティイング戦略を見直すレベルなのか、カスタマージャーニー全体を見直すレベルなのか、戦略プログラムやロードマップを見直すレベルなのか、戦略プログラムの中のコンテンツマーケティングの方法やキャンペーンの方法、使用媒体を変更するというレベルなのかを見極めましょう。再設計の規模の大きさによって対応方法が異なります。

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再設計のレベルによってマーケティング戦略書(3年)、セールスモデル(チームの役割と配置)、カスタマーストーリー、サクセスストーリー、サクセスストーリー構成と提案の流れなどの文書に落とし込み、社内の適切なレベルの人達に必要なコミュニケーションを行います。それぞれの文書には、目的(あるべき姿)、目標(KGI)、スコープ(範囲)、パフォーマンス指標(KPI)などを明確にし、あるべき姿と目標に向かっているための効果を検証できるようにします。

管理フェーズ(結果の検証、定着)

最後は管理フェーズです。(図の⑬⑭の部分)

いよいよ継続的改善カスタマーストーリーを実行します。それぞれのプロジェクトにおいても、目標(KGI)を決め、パフォーマンス指標(KPI)を使ってあるべき姿、目標に向かっているか効果を検証します。

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まずは改善後のコントロール手法の明確化をしましょう。(図の⑬)誰がいつどこをどのような頻度で戦略をチェックするかを決めます。「どこを」の部分は、測定フェーズで行った現状のカスタマーストーリー(リスト→提案→案件→見積り→受注の流れ)のプロセスとデータのどの部分を見るのかをきめると良いでしょう。

コントロール手法を決めたら、それに従い定期的にチェックします。そして改善ポイントがあった場合は、同じようにDMAICの手法で改善します。

最終目標は全員が継続的改善視点をもって自発的に改善のサイクルを回すことのできる変化に強い組織を作る事であり、継続的改善が組織に根付いた状態にする事です。(図の⑭)これが市場の変化に対応する継続的改善マーケティングであり継続的改善カスタマーストーリーです。

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