大枠の戦略(グランドストラテジー)の選択方法

  • 大枠の戦略(グランドストラテジー)の選択方法とは、経営判断のためのガイドラインです
  • それにより、大きな視点から中長期の方向性を再確認することができます

詳しくは以下のコラムで

大きな視点から中長期の戦略を選ぶ方法

継続的改善B2Bマーケティング戦略を作る手順には、戦略をあるべき姿に再設計する前に「大きな視点」で物事を俯瞰で見るというプロセスがあります。大きな視点で物事を捉えることで、方向性を再確認できます。また一歩下がって大きな視点でみた結果として中長期の戦略の方向性が大きく変わることもあるかもしれません。

ここまで大きな視点として、SBU(Strategic Business Unit)の区分の仕方や、ターゲットセグメントとマーケティングミックスのパターンによる選択と集中の考え方、アンゾフマトリックスによる市場・顧客×サービス・商品での成長への展開、3つの基本戦略による差別化の方法といった戦略立案の際の基本的な考え方を振り返り、中長期の大きな方向性を見過ごしていないかを再度確認しました。

ここからは更にグランドストラテジーといわれる大枠の戦略を選ぶ2つの方法について話していきます。まずは大枠の戦略にはどのようなものがあるのかについてです。

大枠の戦略にはどのようなものがあるか

ここでいう大枠の戦略(グランドストラテジー)というのは以下のようなものです。

  • Concentrated Growth(成長集中)

市場も成長ステージにあり、企業の強みを活かして市場への浸透とシェアの拡大に集中します。

  • Market Development(市場開拓)

販売チャネルの方法を変更したり、現在の市場セグメントと近いセグメントへ参入したり、マーケティングのメッセージやプロモーションの方法を変更する事による市場の開拓を行います。

  • Product(Service)Development(商品・サービス開拓)

現在の商品の品質・特性・スタイルなどの改善やアップデイト・マイナーチェンジ、又は関連商品を売り出す事によって商品の開拓を行います。販売チャネルは既存のものを利用します。

  • Innovation(技術革新)

技術革新、新しいアイデアや方法を考案し、初期段階での高い利益を獲得します。

  • Horizontal Integration(水平統合)

同じサプライチェーンで同じような業態でビスネスを行っている企業を買収で獲得する事によって売上げを拡大し、販売量が増えることによる規模の経済を使い市場の影響力を増し購買や物流を操作します。

  • Vertical Integration(垂直統合)

商品を市場に供給する為に必要な原材料や部品等を供給する会社や、倉庫や販売会社など生産工程の段階を買収により取り込んで経営の効率化を目指します

  • Concentric Diversification(同心円的多角化)

中核となる商品、市場、テクノロジーに関連する企業の買収による多角化に関連する分野に進出する多角化です。特殊な技術能力やマーケティング能力を持つ企業が、成長分野において経営資源を効果的に適用させることで成長をめざすものです。

  • Conglomerate Diversification(コングロマリット的多角化)

現在のビジネスには基本的に関係ない商品、市場、テクノロジーの企業の買収による多角化です。

  • Joint Venture(ジョイントベンチャー)

事業を実行する為に、複数の企業が得意分野である技術力や営業力、ブランドなどを持ち寄ることにより一社では不可能な大規模な事業を展開するものです。発注側にも受注側にもリスク分散の効果があります。

  • Strategic Alliances(戦略的連携)

共通の目標を持つ企業が、それぞれの得意分野をいかして連携して共同事業を行う事です。

  • Turnaround(経営再建)

基本的に現在の経営では立ち行かない為、経費の削減による抜本的な経営再建が必要なものです。

  • Divestiture(小会社、事業部の売却)
  • Liquidation & Bankruptcy(清算 or 倒産)

例えば戦略を考える際に、買収すればいいのではないかと思いつきで考えてはいけません。そこへ至るまでの現状理解、分析を経てあるべき姿の実現のために経営判断することになります。

大枠の戦略を選ぶ方法

中長期の戦略の方向性としての大枠の戦略(グランドストラテジー)の決定は、大きな経営判断となります。ですので自社が大枠の戦略のどれに最も適合するのか適合しないのかを考えて経営判断を行うのは簡単な事ではありません。ここでは、大枠の戦略の考え方と、どのような戦略を取るのかを判断するためのガイドラインとなる方法を2つ紹介します。

  • グランドストラテジーセレクションマトリックス
  • グランドストラテジークラスター

1つめのグランドストラテジーセレクションマトリックスは、SWOTで行った自社の強み弱み×内部リソース外部リソースの活用からとるべき戦略を判断する方法です。そして、もうひとつのグランドストラテジークラスターは、市場成長率×競合状態からとるべき戦略を判断する方法です。では、それぞれの方法についてみていきましょう。

グランドストラテジーセレクションマトリックス

グランドストラテジーセレクションマトリックスは、SWOTで行った自社の強み弱み×内部リソース外部リソースの活用からとるべき大枠の戦略を判断する方法です。

SWOT分析では、自社の強みと弱みを理解しましたが、まずそれを思い出してください。

グランドストラテジーセレクションマトリックスでは、自社の弱みに打ち勝つのか、強みを活かすのかを縦軸に置きます。そしてその実行手段においては現在の自社の内部リソースを活用するのか、それとも外部リソースを活用するのかを横軸において大枠の戦略(グランドストラテジー)を選びます。

下の図がグランドストラテジーセレクションマトリックスです。例えば内部リソースで強みを活かすのであれば、右下の部分になり、とるべき大枠の戦略は「成長集中」、「市場開拓」、「商品開拓」、「技術革新」の4つが適切な方法と言う事になります。

また強みを活かすという方向は同じだが、手段として外部のリソースを活用するというという場合は、右下の、「水平統合」、「同心円的統合」、「ジョイントベンチャー」が取りえる大枠の戦略(グランドストラテジー)となります。

グランドストラテジークラスター

グランドストラテジークラスターは、市場成長率とその市場における自社の競合状態からとるべき大枠の戦略を判断する方法です。

市場にはマーケットライフサイクルと呼ばれる、成長のステージがあります。自社がターゲットにした市場の成長が速いのか、遅いのかを縦軸に置きます。そしてその市場の競合状態が強いのか、弱いのかを横軸において大枠の戦略(グランドストラテジー)を選びます。

グランドストラテジークラスターは、市場の成長に併せたより迅速な戦略の選択が必要か、腰を落着けたある程度の時間を要する戦略が必要かというスピードを考慮した判断を行う際のガイドラインになります。下の図がグランドストラテジークラスターです。

大枠の戦略を選ぶ方法を使う際には

これらのグランドストラテジー決定の方法は、自社の長期的戦略の方向性を決める目安です。なによりも大切なのは市場の状況と自社の状況を事実ベースでよく理解してから判断する事です。

安易に買収や統合を考えたり、あなたの会社の強みと思っていた事が実は標的市場においては弱みであったりというような、浅い理解度でこれらの大枠の戦略を選択する方法を使うと方向を見誤りますので注意が必要です。

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