RFM分析から顧客の購入パターンを知る

  • RFM分析とは、顧客の購買パターン(時間、回数、金額)を知ることができます
  • それにより離脱する顧客のパターンから、最適な顧客維持のプログラムを開発することができます

詳しくは以下のコラムで

顧客には購入パターンがある

一回のみ購入して終わりの顧客、何度も何度も購入してくださる顧客、3か月に一度同じものを定期的に購入する顧客、昔は良く買ってくれたのだけれど最近購入しなくなった顧客、一度に大量に買う顧客、いつも小口で頻繁に購入する顧客などいろいろな顧客がいます。

このような顧客の購入パターンを知ることは顧客の購買行動を知ることになります。
では顧客の購入パターンはどのように分析し、どのような行動をとればよいのでしょうか。

RFMで分析する

顧客の購入パターンを分析する方法にRFM分析という方法があります。

RFMとは、Recency / Frequency / Monetary の3つの言葉の頭文字をとってつくられた言葉です。この3つの観点から顧客の購買パターンを分析するのがRFM分析とです。

RFMのそれぞれ意味は以下です。

  • R(recency:最新購入日) 直近で最後に購入した日(最近購入しているか)
  • F(frequency:累計購入回数) 購入の頻度(どのくらいの頻繁に購入しているか)
  • M(monetary:累計購入金額) 購入した金額の合計(いくら多く使っているか)

これらの組み合わせによって購入パターンと顧客の状態をグループにわけることができます。
以下は、R(recency:最新購入日)とF(frequency:累計購入回数)の二軸で顧客を分類したものです。

この例では顧客を9つのグループに分類しています。例えば右下のF1R1の顧客の場合は、購入頻度が2回以下であり最終購入日から半年以上が経過しているという事です。つまり1回(2回)限りのお客様でこのまま離脱状態になる可能性が極めて高いといえます。

一方でF3R3はF1R1の対極にあり、頻度も高く最近も継続的に購入している信頼できる優良顧客です。

このような視点から9つのグループについてそれぞれ以下のような事がいえます。

  • F1R3 新規:購入回数少なく最近購入したばかり→F2R3に行けばよい傾向、F1R2に行くと無関心
  • F1R2 無関心:購入回数少なく3か月から半年経過→このままいなくなる可能性高まる
  • F1R1 他人:購入回数少なく最終購入から半年以上たっているの→もう戻ってこない可能性大
  • F2R3 信用:購入回数も増え継続的に購入するようになってきた
  • F2R2 事情発生:順調に購入していたが最近購入が止まった→何らかの事情が発生したのか?
  • F2R1 不満:順調に購入していたが最後の購入から半年経過→なんらかの不満がある?
  • F3R3 信頼:購入回数も増え続け順調に購入している→信頼できる優良顧客
  • F3R2 不満発生:優良顧客だったのに購入が止まった→最もケアすべき顧客→優良顧客の休眠防止
  • F3R1 不信:優良顧客だったのに購入が止まって半年→根本原因の追究と復活する可能性を探る

つまりFは1から2へ、2から3へと高くなるにつれて、優良顧客の可能性が高くなります。
そしてRは3から2へ2から1へと低くなるにつれて休眠・離脱の危険度が高まります。

このような購入パターンの分析から、図のなかの青い矢印は顧客が良い方向に向かっている、赤い矢印は悪い方向へ向かっている、黄色い矢印は注意が必要な状態ということがいえます。

RFM分析の事例

以下は、私がある顧客グループに対して実際に行ったRFM分析です。
F(Frequency:累計購入回数)とR(Recency:最新購入日)に加えて、M(monetary:累計購入金額)を加えてあります。

横軸はF(Frequency:累計購入回数)で平均の注文の間隔を表します。縦軸はとR(Recency:最新購入日)で最後の注文からの時間経過です。これにM(monetary:累計購入金額)を加え、それぞれのグループに購入金額をいれわかりやすいようにヒートマップとして表しています。(グリーンがもっとも購入金額が多く、黄色、赤へいくにしたがって金額が少なくなっていきます。)

また上段は金額、下段は実績から見た休眠になる確率です。(1年以上購入がない状態になる確率)

ここで左側の赤枠で囲んだ平均の注文間隔が2週間以内のグループに注目してください。このグループの場合は上から下に、最後の注文からの経過時間が6か月から12か月、3か月から6か月、1か月から3か月、2週間から4週間、0から2週間となっています。そして金額と休眠の確率は、以下のようになります。

  • 最後の注文からの経過時間が6か月から12か月→購入金額£1,196、休眠確率88%
  • 3か月から6か月→購入金額£1,730、休眠確率70%
  • 1か月から3か月→購入金額£3,096、休眠確率55%
  • 2週間から4週間→購入金額£5,051、休眠確率28%
  • 0から2週間→購入金額£10,395、休眠確率11%

ここからわかるのは、F(Frequency:累計購入回数)購入頻度の高い顧客は購入金額も多く優良であること、3か月以上たつと休眠する可能性が50%を超えることです。

つまり顧客の購入頻度を高くすれば優良顧客になる、一方で購入頻度の高い優良顧客が最終購入日から3か月が経過すると休眠の危険がある、つまり大きな売上を失う危険があるということです。

RFM分析で休眠顧客の総数を減少させる(リテンションプログラム)

ビジネスを成長させるうえで顧客を維持するということはとても重要です。

新規顧客を獲得するには、既存顧客をつなぎとめようとする場合の6倍から10倍の経費がかかるともいわれ、顧客の休眠を防ぎLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めるのは非常に価値のあることです。

RFM分析をしてもただ分析だけして、行動を起こさなければ意味がありません。
ここでは2つの行動・プログラムに関して紹介します。

  • 休眠顧客の総数を減少させる(リテンションプログラム)
  • 優良顧客の休眠を防ぐ(優良顧客に絞ったリテンションプログラム)

まず1つ目は、休眠顧客の総数を減少させる行動(リテンションプログラム)です。リテンションプログラムは、休眠になる兆候がみえる顧客に対して前もってこちらからアプローチする仕組みです。休眠になる顧客の購入パターンの変化を発見し顧客に対してアプローチします。

例えば最終購入日から半年が経過し、休眠顧客になる可能性が50%と高くなってきたタイミングでリテンションプログラムがスタートするよう仕組みをつくった場合、最終購入日から6ヶ月経ったお客様には、近況を伺うようなメールや電話が実施されるわけです。

  • 休眠前後の数ヶ月における定期的なメール配信
  • 休眠前後の数ヶ月におけるフローに沿ったコール

例えば休眠の確率が50%を超えるタイミングである半年が経過した顧客の障害を見出すような仕組みやスクリプトをつくり、なんらかの障害を発見した場合には、その解決策や提案をできるようにしておきます。聞きっぱなしでは何の解決にもならず逆効果にもなりかねないので注意が必要です。役に立つ情報(コンテンツ)を配信したり、セミナーや展示会の案内を送ったりということもできます。

前述したように顧客を維持しLTVを高める事は非常に価値のあることです。

仮に1年後に顧客の80%を維持するのと50%を維持するのでは、顧客対象のキャンペーンを行ってもそのリーチ率(到達率)がキャンペーン開始時にすでに30%異なるわけです。既存顧客の維持はボディーブローのように売上に効いてきます。

一方でリテンションプログラムを実施する際には、現在の休眠顧客数をどの程度に抑える必要があるか?抑えられるか?存在自体がなくなる顧客はどの程度いるか?どの程度のアトリションレート(休眠率)を目標とするのか等を明確にしておく事が必要です。顧客維持のアクティビティにおいては明確な効果として結果を測定することが比較的難しい為、明確な目標を持つ事がより一層重要になってきます。また全体に対してリテンションプログラムを行う際には、できるだけ自動化させ効率を高めることも重要です。

顧客維持系プログラムのKGI(ゴール)設定に有効なKPI

  • 休眠数の低減
  • アトリションレート(休眠率)の低減
  • LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上

RFM分析で優良顧客の休眠を防ぐ

RFM分析で休眠顧客の総数を減少させる(リテンションプログラム)を行う場合に、特に注意を払うべき顧客は購入頻度と金額が高い優良顧客です。この休眠の危険の高い優良顧客にフォーカスして休眠や競合会社へのスイッチするのを防ぐという観点からのアクティビティを行う事も有効です。

休眠の危険性のある顧客からRFM分析により優良顧客のグループをみつけ、その対象に絞りこんでよりリテンションのアクティビティを行うことで、効率的に企業の利益にとって影響の大きい顧客の維持をめざします。例えば以下のようなことを行います。

  • 休眠の危険のある優良顧客に絞っての特別なオファー
  • パーソナルレターやパーソナルな電話
  • 営業による特別な訪問

プログラムを成功させるにはRFM分析で休眠の危険のある優良顧客のグループを特定し、そのグループが持つ不満の根本原因を理解して、それを取り除く、あるいは緩和できる適切なオファーやプログラムの設計をすることが必要になります。

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