3つの基本戦略とは

  • 3つの基本戦略とは、差別化の基本の考え方です
  • それにより長期的な競争優位を築いて、5つの脅威に対抗することができます

詳しくは以下のコラムで

3つの基本戦略とは

3つの基本戦略とは、自社が業界内で長期的な競争優先を築くためには大きく3つの基本的な考え方にまとめることができるというものです。3つの基本戦略は、外的な脅威を5つに分類した5フォース分析を考案したポーター氏によって1980年に提唱されたものです。

競争優位を築くというのは継続的改善B2Bマーケティング戦略において需要なポイントであり、大きな視点で考えるひとつの方法として整理し紹介したいと思います。

3つの基本戦略は、「戦略ターゲット」と「競争優位のタイプ」の2軸で考えます。下の図が考え方ですが、縦軸が「戦略ターゲット」であり、下が「狭い」で上が「広い」となります。横軸は「競争優位のタイプ」であり、左が「低コスト」で右が「特異性」となります。

コストリーダーシップ戦略

まず1つ目の戦略が図の左上の「コストリーダーシップ戦略」であり、戦略ターゲットは広く、優位性のタイプは低コストとなります。業界全体の幅広い顧客をターゲットとして、競合よりも圧倒的に安く商品・サービスを提供することで競争優位を築こうとする戦略です。

低コストというのは安売りや低価格戦略ということではなく、低い原価で生産ができる仕組みをつくるということです。つまり競合より安く商品・サービスを提供するために低コストで生産をする仕組みが必要になります。大規模な設備投資などによって規模の経済(スケールメリット)を追及したり、広告費や梱包費などを究極まで抑えたり、原料の調達からサービスに至るサプライチェーンの自動化を推し進めるなどのオペレーションの改善による効率化がポイントなります。

コストリーダーシップ戦略をとることで、企業をとりまく外的な5つの脅威である5フォースに対して、以下のような形で対抗する力を高めることができます。

・競争業者の脅威 – 他社が追随できないような安価で圧倒的な競争優位を築く

・新規参入企業の脅威 – 価格が低くても利益がだせる独自の仕組みによって参入障壁を高める

・代替品の脅威 – 安い代替品が生まれるリスクを下げ、価格で勝負できるようにオペレーションを磨く

・売り手の交渉力 – 市場に対する供給数を上げることで、交渉力を高める

・買い手の交渉力 – 常に安い価格を提供し続けることで、交渉力を高める 

差別化戦略

基本戦略の2つ目の戦略は図の右上の「差別化戦略」であり、戦略ターゲットは広く、優位性のタイプは特異性となります。業界全体の幅広い顧客をターゲットとして、競合とは異なる特徴をいかして差別化を実現することによって競争優位を築こうとする戦略です。

差別化というのは、顧客が感じる価値が他社よりも高いと認識するということであり、自社がこれは他社より価値があるといくら主張しても顧客がそう思わなければ意味がありません。自社や商品・サービスにあるブランドや独自の特徴によって顧客からみた価値を高めることで優位を築くものであり、逆に言うと価格では勝負しないということです。価格で競合と勝負して買ったとしても、次は価格で負けるということはよくあることです。

例えば、同じ業界でコストリーダーシップ戦略を取る企業に対しは、価格で勝負するのではなく高品質な商品・やサービスや特徴的な付加価値を提供するなどにより対抗します。また顧客が競合と認識をしないようなポジショニングを築くという方法もあります

差別化戦略をとることで、企業をとりまく外的な5つの脅威である5フォースに対して、以下のような形で対抗する力を高めることができます。

・競争業者の脅威 – 他社とは異なる差別化された顧客からみた価値によって競争優位を築く

・新規参入企業の脅威 – 独自の特徴ある価値を高めることによって参入障壁を高める

・代替品の脅威 – 安い代替品とは別の商品・サービスと認識されることで価格競争を生まない

・売り手の交渉力 – 市場における独自のポジションと高い利益率によって、交渉力を高める

・買い手の交渉力 – 価格競争にまきこまれずに利益を確保し、交渉力を高める 

集中戦略

基本戦略の3つ目の戦略は、図の右下「集中戦略」であり、戦略ターゲットを特定の市場・特定の顧客に絞り込んで、その特定市場の中で自社の経営資源を集中投下し競争優位を築こうとする戦略になります。

集中戦略においては、戦略ターゲットはある特定市場に絞り込んだうえで、競争優位のタイプは2つに分かれます。集中戦略の1つめが図の左下にある、③-Aの部分で、コスト集中戦略となります。つまり戦略ターゲットは狭く(絞り込んでいるので当然ですが)、その中の絞り込んだ特定市場の中での低コストを競争優位として築こうとする戦略となります。

集中戦略の2つめが図の左下にある、③-Bの部分で、差別化集中戦略となります。つまり戦略ターゲットは狭く、その中の絞り込んだ特定市場の中の特異性で、他社にはない高い価値のある商品・サービスなどによる差別化を競争優位として築こうとする戦略となります。

コスト集中戦略も差別化集中戦略も、市場全体を対象にしたコストリーダーシップ戦略や差別化戦略をとる企業と同じでは競争優位にたてません。集中する特定市場を知りぬき特化することで市場全体をターゲットとした企業との競争優位を築かなければなりません。

コスト集中戦略も差別化集中戦略も、その特定市場における外的な5フォースに対応します。つまり特定市場内において、コストリーダーシップ戦略や差別化戦略同様に5つの脅威に対抗する力を高めることができます。

どれにも当てはまらないとどうなるか?

では3つの基本戦略のどれにも当てはまらない企業はどうなるのでしょうか?答えはいずれ淘汰されるということです。ターゲッティングによって戦う市場を決めて、そのなかで競合に対する立ち位置をポジショニングによって決める。そして継続的に改善することによって、企業が顧客に対して価値を提供し続けなければなりません。

すべての市場を相手にして、他にもよくある商品・サービスを行っている企業は、結局は総花的で特徴がないということになります。そういった企業はその存在価値を失って消えていくことになります。

変化の多い時代に生き残るには継続的に改善できるマーケティング戦略が必要になります。

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