PEST分析で会社をとりまく変化を知る

PEST
  • PEST分析とは、外的要因で気をつけるべきポイントをチェックする方法です
  • それにより、ポイントをチェックし自社にあたえる影響を理解し備えることができます

詳しくは以下のコラムで

PEST分析で外的要因を分析する

PEST分析という言葉を聞いたことがありますか?企業の業績や成長に影響を及ぼす要因には自社ではコントロールが難しい外的要因とコントロールすることが可能な内的要因にわける場合がありますが、PESTとは企業の外でおこっている外的要因の中で注意すべきポイントを分析する方法です。

PESTは、政治的(P=political)、経済的(E=economic)、社会的(S=social)、技術的(T=technological)の頭文字を取った造語です。ここにエコロジーや環境問題といったものも加わります。

それでは、ひとつずつ考えていきます。

政治的(P=political)

政治的に影響があるものとしては、、法規制強化や規制緩和や法律改正などがあります。法律の改正によって今までできていた販売形態ができなくなったり、新たな商圏が生まれたりすることもあります。

また政権交代による人脈の変化や消費税や法人税といった税体系の変化によっても市場は大きな影響を受けます。2019年にはアメリカトランプ政権と中国の間で日中貿易摩擦といわれる関税の引き上げ合戦が行われましたが、これによって対象商品を輸出入している企業は大きな影響を受けました。

同じ年には日本が韓国に対する輸出規制を強化し、半導体に使う「フッ化水素」とスマートフォンのディスプレイなどに用いる「フッ化ポリイミド」、半導体の基板に塗る「レジスト」の三品目について輸出管理を強化し、その後輸出管理に関して、韓国を「ホワイト国(優遇対象国)」から外します。これによって韓国へ依存している企業などは深刻な影響を受けました。

このように政治は企業の業績にも影響を及ぼしますが、企業側でのコントロールが難しいものです。だからこそ事前にできるだけはやく変化の波を予測し、それに対応するように企業側が経営資源や比較的コントールしやすい内的要因を柔軟に変更していく事が求められます。

経済的(E=economic)

経済によっての例としては、2008年のリーマンショックからはじまった世界経済の低迷は様々な企業に大きな影響を与えました。リーマンショックとは2008年9月に、サブプライムローンといわれる住宅ローンの行き詰まりなどにより、大手投資会社リーマン・ブラザーズが経営破たんしたことで起きた世界的な経済危機のです。アメリカのみならず世界の株価が暴落し影響を与えました。

また半導体業界などは、いわゆるシリコンサイクルといわれる約4年周期で好況と不況を繰り返す業界特有の景気循環があり、これにより業績が大きく左右されます。半導体産業は過去数十年にわたり全体としては右肩上がりの大きな成長をとげていますが、半導体製品や半導体製造装置などの市況は2年前後の需要の強い好況期と、続く2年ほどの供給過剰な不況期を周期的に繰り返しているのです。

私は前に工業用部品のネット販売の会社にいましたが、半導体業界に売上をたよりすぎていると影響が大きくなるという事を痛感しています。このことからも半導体業界などの成長市場やや特定成長地域に大きく依存することは成長を加速する側面もありますがリスクもあるのです。

そして2020年には新型コロナフィルスによって、非常事態宣言が出されて経済活動が大打撃を受けました。全世界がこのような事態に陥るとはだれも予測できませんでした。オリンピックも延期、企業活動も制限を余儀なくされ、多くの企業が倒産してしまいました。この影響は今も続いており、いつになったのか終わるのか見通せない状態です。

このように経済、景気動向、インフレやデフレなどもコントロールが難しい外的な要因で、企業の成長に大きく影響します。

社会的(S=social)

企業は社会的な影響も大きく受けます。例えば少子高齢化などの人口の構成比率の変化です。下のグラフは日本の左がが人口増減数で、右は年齢3区分別の割合の推移です。

(ソース:総務省統計局 人口推計

日本の総人口は減り始めています。若者が減り続け、高齢者が増え続けています。企業はこういった影響も受けます。日本の人口が減っているのですから、日本市場にだけ目を向けているのでは先が読めない企業もあるでしょう。さらに若者が減っているのですから、日本の若者がエンドユーザーになる企業には限界があるかもしれません。

一方で高齢者が増加をし続けている日本は、世界に先駆けた超高齢化社会です。この日本で高齢化をターゲットにしたビジネスを確立できれば、これから高齢化を迎える他の国々にも展開できる可能性があります。ピンチやチャンスという事もいえます。

その他、社会的な流行や、価値観や、ライフスタイルや、文化や、教育や、社会に関わる様々な要因が企業の経営に大きな影響を及ぼします。

技術的(T=technological)

そして技術革新が業界の地図を一変する事があります。これも外的な要因の一つです。例えば昭和の初期はテレビや車がまだ普及していませんでした。そこから高度成長期に入っていった日本の企業に与えた影響はものすごいものがあったと想像します。

例えばデジタル機器のコストダウン、いわゆるチープ革命はカメラや音楽プレイヤーを一新し、そしてフィルムや使い捨てカメラ、カセットテープやラジカセの多くは姿を消しました。さらにインターネットとデジタルの波がビジネスモデルを大きく変えつつあります。シェアリングエコノミーといわれる持たないビジネスが現れたり、SaaS(Software as a Service)と呼ばれる企業は、クラウドで提供されるソフトウェアを提供しサブスクリプション(定期間ごとに利用に対しての課金をするモデル)によって利益をあげています。

こういったビジネスモデルもインターネットという技術がうまれなければ登場しなかったものです。このように、技術革新が企業の成長に影響を及ぼします。

新型コロナウィルスの影響はPESTの枠組みを超えた

PEST分析とは、政治・経済・社会・技術などの企業の外でおこっている外的要因の中で注意すべきポイントを分析する方法です。こういった外的要因は企業側でのコントロールが難しいので、事前にできるだけはやく変化の波を予測し、それに対応するように企業側が経営資源や比較的コントールしやすい内的要因を柔軟に変更していく事が求められます。

しかしPEST分析の枠を超えた大きな影響を与えた出来事があります。それは新型コロナウィルスです。これは人々の考え方や働き方、そして生き方などにも大きな影響を会が得ました。

新型コロナウィルスは政治的にも、社会的にも、経済的にも、そしてテレワークが加速して技術的も大きな変化をもたらしたPESTの枠組みに入らない外的要因です。私たちは今までに経験した過去の事例を参考にして注意しながら企業活動を行います。一方で今回の新型コロナのように今まで経験したこともない事にも対応していかなければなりません。このような時にこそ、冷静に定量的なデータを分析し定性情報を集めて最善な判断を素早く行っていく事が重要です。

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