価格ミックスについて考える

  • 価格ミックスとは、生み出された価値を利益に変える価格の設定方法です
  • それにより、価値を利益に変える論理的な方法を決め戦略に反映することができます

詳しくは以下のコラムで

価格とは

マーケティングミックスの2つめは価格ミックスですが、そもそも価格とは何でしょうか。

価格とは企業側がきめた商品・サービスの価値を金額にあらわしてものですが、価格は必ずしも顧客にとって適正であるとは限りません。というのは顧客が商品・サービスに対しての価格をどう感じるかは、企業ではなく顧客の判断になるからです。その意味でも企業はターゲットとなる市場にいる顧客が感じる価値を想定して適正な価格を決めなければなりません。

一般的には顧客の感じる価値が支払う価格よりも高ければ満足感が大きくなり(価値>価格)購入する可能性が高くなります。反対に顧客が感じる価値が価格よりも低ければ購入する可能性が低くなるということになります。(価値<価格)

また顧客の感じる価値は単なる商品だけで決まるものではなく、購入に至るまでのサービスなどによっても、顧客がもっているブランドのイメージなどによっても変化します。

下の図は価格の考え方を簡単に表したものです。価格はかかったコストと顧客が感じるであろう顧客価値の範囲に設定することになります。

商品・サービスが顧客にあたえる総合的な価値が価格よりも高いというのが購入の条件になります。 

価格ミックスとサブミックス

購入に大きな影響をあたえる価格ミックスを、2つのポイント(サブミックス)から考えます。

  • 価格設定
  • 支払い形式と方法

価格設定は、価格をどのように設定するかという価格と値引きの考え方です。

考え方にはいろいろありますが、ここでは以下のような要素から考えます。

  • 価値(得られた価値やきっと得られる価値)に応じて価格を設定する
  • 代替品の価格を考慮して価格を設定する

1つ目の「効果(得られた価値やきっと得られる価値)に応じて価格を設定する」というのは、先に述べた価格設定の基本となる考え方です。商品・サービスに対する顧客の感じる総合的な価値を想定し、コストと顧客価値の間の範囲で価格を設定します。総合的な顧客価値の考え方が重要になってきます。

2つ目の「代替品の価格を考慮して価格を設定する」というのは、その商品・サービスを他のもので行った場合にはどのような価格になるかを想定して価格を決めるというものです。例えば私が工業用部品のネット通販をスタートさせたときには以下のようなことを話しあいました。

電子部品を1つ購入するといった場合、東京の秋葉原にいって店を探して買って帰ってくるということを考えます。この場合には、秋葉原まで行って帰ってくる交通費や店を歩き回って探す時間や労力がかかります。また1つでは買えなくて10個単位でしかかえないかもしれません。

これをネット通販で1つから買えるサービスで提供するのであれば部品そのものの価格よりもかなり高い金額で買っても、顧客が感じる価値からみると格段に安いということになります。ですから価格を割高につけることができたのです。

効果的な値引き方法

価格を設定した後の値引きの考え方に関しても以下のようなものがあります。

  • 特定の顧客に対する値引き
  • 特定の量よる値引き(ボリュームディスカウント)
  • 特定商品やサービスに関する値引き
  • 特定の期間における値引き
  • 特定なチャネルにおける値引き

まず「特定の顧客に対す値引き」とは、大口顧客に対して特別な価格設定を行うことでl購入頻度や量を増やそうとするものです。この場合には、顧客としっかりと契約を結ぶことが大切で、商品やサービスの提供をリスクをおって確保するかわりに購入の確約をもらう事が必要です。

2つ目の「量・数にともなって価格を設定する」というのは、購入数によって単価を変えるという方法です。例えば100個未満は1個1,000円、100個以上500個未満は1個900円、500個以上は1個800円といったように設定します。購入数を多くすることで少しでも安く買おうという顧客の心理を利用して全体の購入金額を増やす効果を期待します。ボリュームディスカウントともいいます。

3つ目の「特定商品やサービスに関する値引き」とはある戦略的な商品・サービスに関して値引きを行う事で価格に対する顧客のイメージを変えて、価格競争力をアピールすることを狙うものです。

4つ目の「時間・期間にともなって価格を設定する」というのは、期間限定の商品プロモーションなどです。例えば大学や官公庁などは4月から翌年3月で予算をつけますので、3月末までに予算をできるだけ使いきろうとする傾向があります。そこに目をつけて計測器や工具等のいつでも使える商品を11月から2月に期間限定の価格を設定してプロモーションを行ったりします。そうすることでより多くの商品を買ってもらうことができるわけです。

5つ目の「特定のチャネルにおける値引き」とはチャネルによって値引きを設定するものです。たとえばネットでの価格を店舗よりも安く設定して、顧客を処理効率の高いネットに誘導することができるわけです。

支払い形式と方法

支払い形式や方法は価格そのものではありませんが、設定の仕方で顧客の購買行動が変化することもあります。支払い形式はここでは以下のようなことが考えられます。

  • 前払い
  • 即時払い
  • 後払い
  • 分割払い
  • 定期払い

このなかで定額払いはサブスクリプションとも呼ばれるもので、SaaSと呼ばれるサービスをクラウドで提供する企業などに多い支払い方法です。定期的に支払われるので売上を予測しやすいという利点がありますが、解約される可能性もあるので顧客維持、カスタマーサクセスにより注力する必要が出てきます。

支払い方法も価格ミックスをサポートするもので、以下のような要方法が考えられます。

  • 現金
  • 振り込み
  • 信用(手形や・クレジット)
  • 電子マネー
  • 交換

現金や手形などで取引をすると処理に多くの時間を要することになります。一方で電子マネーやeコマースに誘導することで処理コストを下げることで価格をより競争力のあるものに設定することも可能になります。

価格の設定方法

このように価格や値引きの設定は戦略的に重要です。

価格戦略にはいろいろな考え方がありますが、ここでは以下の3つの価格戦略についてみていきます。

  • 市場浸透の価格戦略
  • 利益確保の価格戦略
  • 継続的利用の価格戦略

市場浸透の価格戦略とは、商品・サービスをできるだけ早く市場に浸透させて大きなシェアを獲得ししようとするもので、浸透させるために価格をコストぎりぎりのラインに設定する挑戦的な価格です。こういった価格を設定した場合には低価格競争に陥ることになるので、企業自身にその価格を継続していく資金的な体力があることと、最終的に利益を確保できる計算がなりたつかという判断が必要になります。

利益を確保できる計算が成り立つには、販売量が増えるにつれて一個あたりの生産コストが下がっていく仕組みが必要です。たとえば大量販売と大量仕入れによって仕入れコストを大幅に下げたり、自動化によって効率を飛躍的にあげたりすることによって利益を確保する必要がでてきます。またクラウドでサービスを提供するような場合には開発費は高くついても、利用客が増えるにつれての追加コストは大きくありませんので、ユーザーが増えるにつて利益が増えていくことになります。

利益確保の価格戦略とは、市場浸透の価格戦略とは反対に最初から利益を上げることを目的とした価格戦略です。ブランド力や商品特性などを利用して当初は比較的高い価格をつけて、はじめの段階で開発費や設備投資を回収する方法でです。市場の動向をみて、もし競合ブランドが低価格で参入してきた場合には、その時に価格を引き下げることを検討します。

導入の初めの段階で開発費や設備投資費を回収していれば、値下げをしてもある程度の利益が出ることになります。より安全な価格設定ですが、商品・サービスの顧客価値が高いということが前提になってきます。

継続的利用の価格戦略とは、カミソリの替え刃が例にあげられる戦略で商品本体を安価で販売し利用する際に繰り返し使う消耗品に十分に利益をとれる価格設定を行う事で利益を回収するという戦略です。

カミソリの場合には赤字覚悟で本体をばらまき、リピーターが替え刃を買う事で利益を回収するという訳です。インクジェットプリンター機本体と消耗品であるインクや、カプセル式コーヒーマシン本体とコーヒーカプセルなども継続的利用の価格戦略を応用しています。

B2Bビジネスにおいても産業機械と消耗品ということで応用されることがあります。また本体に対する初期投資が大きければ大きい程、本体を購入した以上はできるだけ使い続けるということになりますから、本体を普及することに成功すればロックインすることができ、ある程度長期的な利益確保が計算できます。

価格の弾力性

このように価格の設定方法や値引き方法、そして価格戦略はマーケティングミックスの重要な要素になりますが、価格には商品・サービスや業界などによって価格の変動による影響力がことなります。

これを価格弾力性(price elasticity)とよびます。

聞きなれないことばかもしれませんが、価格弾力性とは、価格の変動によってある商品・サービスの需要や供給が変化する度合いを示す数値です。簡単にいうと顧客が購入する量が需要であり、商品を市場に提供する量が供給ですが、需要の価格弾力性の場合は、需要の変化率/価格の変化率の絶対値で表されます。

例えば、ある商品・サービスの価格を10%値上げしたときに、需要が5%減少したとすると、この場合の価格弾力性は0.5となります。この値が1より大きいと「弾力性が大きい」といい、1より小さいと「弾力性が小さい」といいます。

つまり価格弾力性が小さい商品・サービスにおいては、価格を変更してもほとんど需要は変化しないだろうという事が予測されますが、価格弾力性が大きいと価格が変わると需要が大きく変化するということになりますので価格変更、特に値上げに関してはビジネスへのインパクトを慎重に検討しなければなりません。

あなたの商品・サービスには弾力性がありますか?

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