営業のパフォーマンスから問題点を発見する
- 営業の問題点を発見するには、KSFに分解してパフォーマンス低下の理由をみつけることです。
- それにより根本原因を取り除いてカスタマーストーリーのパフォーマンスを改善することができます
詳しくは以下のコラムで
パフォーマンスの良い攻めの営業活動(カスタマーストーリー)とは
パフォーマンスの良い攻めの営業活動(カスタマーストーリー)のカギとなるのは、ターゲットにした顧客をリスト化して、提案、案件化、見積り、受注へと最大効果最大効率で攻める営業プロセス(手順)です。
これを顧客が購入にいたる物語に例えてカスタマーストーリーとよんでいます。
ではパフォーマンスの良いカスタマーストーリーとはどのようなものでしょうか。
パフォーマンスの良いカスタマーストーリーをシンプルにいうと、価値提供をする攻めの営業活動で、売上が増加し、利益が増加し、効果が高まるように営業費用が管理できる流れです。
これを実現する為の重要成功要因KSF(Key Success Factor)は、大きく3つが考えられます。
攻めの営業活動、カスタマーストーリーのKSFは何か
良いパフォーマンスのカスタマーストーリーを実現する為の3つの重要成功要因KSF(Key Success Factor)とは以下です。
- 売上の増加―いかに売上(トップライン)を増加させるか
- アカウント数の増加ーいかにアカウント数(顧客である会社の数)を増加させるか
- 売上/アカウントの増加-いかに1アカウント(1社)あたりの売上を増加させるか
- 利益の増加―いかに利益(ボトムライン)を増加させるか
- 費用の管理―いかに営業活動の効率を向上できるか
カスタマーストーリーの目的であるKGI、成功要因KSF、そしてパフォーマンスの計測指標としてのKPIの関連をまとめたのが以下のKPIツリーになります。
この3つのポイントについて、パフォーマンスの良いカスタマージャーとは?問題点をどう見つけるか?という視点から考えていきましょう。
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カスタマーストーリーの問題点1:売上が増えない
売上の増加というKSFは、2つの要因に分けることができます。
アカウント数(KPI-1)と売上/アカウント(KPI-2)です。
売上が増加しない(つまり売上が減少)するというのは、この2つの両方、もしくは片方が減少しているということになります。
アカウント数と売上/アカウントの片方が増加している(あるいは変わらない)が、片方が減少しているという場合は、減少しているほうの下げ幅がより大きいということになります。
当たり前ですが、当たり前のことをしっかりやるのが近道です。
まずは、アカウント数(KPI-1)から考えていきましょう。
アカウント数は、さらにKPI-2の新規アカウント数と離脱アカウント数にわかれます。
アカウント数が増加しない(つまり減少する)というのは、この2つの両方、新規アカウント数よりも離脱アカウント数が多いということになります。
新規アカウント数の増加よりも離脱アカウント数の増加のどちらが多いでしょうか。
新規アカウントの獲得は効果的効率的なカスタマージャーニーを設計して実行し、質の良い見込み客・リードを獲得することです。
営業として重要なのは、カスタマージャーニー(デマンドゼネレーションともいう)で獲得した見込み客・リードを選別し、質の良いリードをSQL(Sales Qualified Lead)としてリスト化し育成していくことです。
リスト→提案→案件→見積→受注といった各プロセスにおける定義を明確にして、数とプロセス間の移行率(コンバージョン率)、移行させるためにかかった時間や営業リソースなどをデータで確認しながら最適な営業活動を取ることで最大効果(最大の売上と利益をあげる)最大効率(できるけ安価に)を論理的に追及することが出来ます。
新規アカウントよりも深刻な場合が多いのは、離脱アカウントの増加です。
その時々の会社のプロジェクトや投資活動によって上下するものの、例年と比べて多いという場合には深掘りして根本原因を探しましょう。
特に売上と利益に貢献する上位アカウントが離脱した場合には、攻め方や関係の再構築が必要です。
全般的に減ったということであれば、オペレーションに問題があるかもしれません。
VOC(Voice of Customer=顧客の声)などからE2Eカスタマーエクスペリエスのどこかに問題点がないか確認します。
カスタマーエクスペリエンスを高めることは、離脱アカウントの防止になるだけではなく、口コミなどによる質の良い新規アカウントの獲得にもつながるので重要です。
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カスタマーストーリーの問題点2:売上/アカウントが増えない
売上/アカウント数(1社あたりの売上)は営業にとっては最重要事項ともいえます。
売上/アカウント数(1社あたりの売上)を増えない、あるいは減少しているというのは営業としては深刻です。
人的リソースをかけて活動しているのに増えていないのですから、営業マンを減らせというような話にもなりがちです。
予算を管理し、メリハリをつけた活動をすることです。
KPI-2として、アカウント別予算、営業チーム別予算、案件別の予算と3つの予算管理をあげています。
予算を達成していない場合、このどこか、あるいはすべてに原因があるはずです。
深掘りして根本原因をさがしましょう。
まずはアカウント別の予算です。現在のアカウントが来期はどのような売上になるのかを決めて予算をたてます。営業が攻める、活動をするアカウントの伸び率は高くなり予算は大きくなるはずです。
予算未達の原因は、どこかのアカウントに集中しているでしょうか?それとも全般的でしょうか?キーアカウントが未達の場合は営業戦略からの見直しも必要かもしれません。
全般的に下がっているようであれば、役割分担や人員配置などの見直しも必要かもしれません。
そして営業チーム別予算です。
多くの企業では顧客のタイプごとに営業チームが組まれている場合が多いと思いますが、その営業チームごとの予算をしっかりと管理していく必要があります。
どのチームが予算未達か、それはなぜか?
各チームに自分のこととして考えさせることが大切です。
この時に重要なのは、プロセスとデータで論理的に考えることです。
そしてチームの予算は、チームを構成する営業マンの個人予算に紐づいていくことになります。
未達の個人を責めるのではなく、根本原因をみつけるようにしましょう。
アカウント別予算と営業チーム別予算を管理すると同時に必要なのが、3つめの案件別予算です。カスタマーストーリーのプロセスであり、この案件別予算がカスタマーストーリーです。(パイプラインと呼ぶこともあります)
カスタマーストーリー(顧客育成の仕組み)とは攻めの営業活動のことで、ターゲットにした顧客をリスト化して、提案、案件化、見積り、受注へと最大効果最大効率で攻める営業プロセス(手順)です。
リスト→提案→案件→見積→受注といった各プロセスにおける定義を明確にして、数とプロセス間の移行率(コンバージョン率)、移行させるためにかかった時間や営業リソースなどをデータで確認しながら最適な営業活動を取ることで最大効果(最大の売上と利益をあげる)最大効率(できるけ安価に)を論理的に追及することが出来ます。
カスタマーストーリーの問題点3:利益が増えない
売上は増えているのに、利益が増えない場合は、その理由をしっかりと見極めましょう
ここも利益がでない要因としてKPI-1、価格設定と値引き設定の2つを上げています。
まず価格設定ですが、適正な利益をのせた価格設定ができているかということであり、価格戦略のベースになるものだといえます。
マーケティングミックスでいう商品ミックスや価格ミックスにおおきく関係します。
商品レンジ(ラインナップの幅と深さと長さ)を考えたうえで決める必要があります。
まず利益がマイナスになっている商品はもちろんですが、利幅がない商品があれば価格か原価の見直しを検討しましょう。
ただ価格をあげれば単価当たりの利益は出ますが、数量がでなくなるリスクがありますので、その点はシュミレーションしてから実行する必要があります。
そしてKPI-2として値引き設定です。
ここは営業の腕の見せ所です。
営業としてアカウントをみて戦略的に価格設定と値引き設定することが大切になってきます。
値引きにはアカウントごとの値引きや特別協定価格の設定や、数量に応じてのボリュームディスカウントなどがありますが、営業として注意したいのはアカウントごとの値引きや価格です。
当然ですが、値引きをすることで将来的に大きな売上と利益がでることが値引きの前提条件です。
この“当然なこと”が結構できていなかったりします。
私も遭遇したことがありますが、利益の出ない顧客に、昔からそうだからとずっと大きな値引きを設定したままになっていたりすることがあります。
ひどい時は、顧客自体が値引きされているということを知らないということも起きます。
アカウントに対する値引きや価格設定は、営業が責任をもって行いましょう。
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カスタマーストーリーの問題点4:営業活動の効率がわるい
「フィールドセールスは本当に効果があるのか?」
こういった発言をマネジメントからきくことは結構あります。
売上を上げると同時に費用を管理していくことで、営業活動の効率をあげていかなければなりません。
費用をかけすぎるということは、利益が減るという事ですから、売上と費用のバランスは大切です。
そこでKPI-1として売上全体に占める営業活動にかかる費用のバランスを確認するために、% of Salesを使います。
売上に対しての費用はどのくらいになっているのか適正なのかを確認するのです。
たとえば売上が順調に伸びていけば、同じ費用をかけていても% of Salesの比率は年を重ねるにつれて下がっていくはずです。
カスタマーストーリー、営業活動を構成する費用の多くは人件費です。つまり営業マンの数が多ければ多いほど費用が増えていきます。
その意味で営業マン1人当たりの売上であるSales/Head(売上/営業マンの人数)や、1時間あたりにどれだけの売上を上げることができるかをみるSales/Total Working Houes(売上/総労働時間)というようなKPIを使って、売上と費用のバランス、つまり効率を高めていくことが必要になります。
売上や利益だけではなく、営業活動をこういった効率・生産性をみて管理していくことも大切です。
攻めの営業は価値を売る
売上や利益や費用全般によい影響をあたえる効果的な方法は価値を売ることです。
商品ではなく価値を売ることです。
プロダクトセリングではなく、バリューセリングです。
これこそが攻める営業のカギとなる部分であり、アカウントとの関係を強化しつつ価値提案をして大きな売上と利益をとる営業の存在意義ともいえます。
価値提案をすることにより、商品ではなくて案件ベースで仕事をとることで売上も利益も効率も高まります。
ネットやITの発達によって便利になりましたが、一方で情報があふれ人々はより簡単に解決する方法を探しています。
正しい役割分担と配置、そして顧客のニーズと問題点を理解して価値を売る(バリューセリング)ことが、ますます重要になってきます。
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