カスタマーストーリー(顧客育成の仕組み)とは

カスタマーストーリー
  • カスタマーストーリーとは、顧客育成のプロセス(手順)です
  • それにより、商品ではなく価値を売る攻めの営業活動を行うことができます

詳しくは以下のコラムで

カスタマーストーリーとは何か?

カスタマーストーリー(顧客育成の仕組み)とは攻めの営業活動のことで、ターゲットにした顧客をリスト化して、提案、案件化、見積り、受注へと最大効果最大効率で攻める営業プロセス(手順)です。これを顧客が購入にいたる物語に例えてカスタマーストーリーといいます。

この物語は企業サイドから見ればカスタマーにこちらから仕掛けて利益をあげる手順ということができます。つまり誰にどのような価値提案をして受注までもっていくのかということであり、営業プロセスの基本となる考え方です。

営業プロセスは企業のビジネスモデルや考え方よって異なる場合がありますが、様々な営業プロセスをカスタマーストーリーとして体系化してデータで効果を検証しながら改善する事で、攻めの営業活動をより効率的・効果的に行うことができます。

高度成長期のような右肩上がりの成長が見込まれない今、訪問すれば案件をもらえた待ちの「御用聞き営業」ができる時代はもう終わりました。単に商品を売るのではなく価値を売る必要があり、価値を売るための攻めの方法がカスタマーストーリーです。営業活動も勘ではなく、プロセスとデータで論理的に計画し効果効率をみて実行しなければなりません。

リスト→提案→案件→見積→受注といった各プロセスにおける定義を明確にして、数とプロセス間の移行率(コンバージョン率)、移行させるためにかかった時間や営業リソースなどをデータで確認しながら最適な営業活動を取ることで最大効果(最大の売上と利益をあげる)最大効率(できるけ安価に)を論理的に追及することが出来ます。

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カスタマーストーリーの全体像

ではカスタマーストーリーの各プロセスの説明、プロセス定義、とるべき営業活動(行動)、目標(ゴール:KGI)、そのゴールの達成度を判断するためにみるべきデータ(指標:KPI)について説明します。まずカスタマーストーリー全体についてですが、以下のようになります。

  • プロセス定義:市場から狙うべきターゲット顧客(アカウント)をリスト化して、アプローチして提案し、必要な情報をヒヤリングして案件化し、価値提案と見積提出を行い、フォローアップして受注へとクローズする攻めの営業プロセスです。リスト→提案→案件→見積→受注といったプロセス全体をカスタマーストーリーと定義します。
  • 行動:リストのステイタス(選んだターゲット顧客がリスト→提案→案件→見積→受注のどの状態にいるのか)によって営業マンの行動を切り替えます。また可能性がなくなったらプロセスから外す、白黒をはっきりつけて大きな可能性のある案件にリソースを集中させること、プロセスを速く回すことが大切です。
  • 目標(ゴール、KGI)と判断基準(KPI) :現状からあるべき姿を実現するために、カスタマーストーリー全体の適正なゴール(数値)を設定します。

継続的改善カスタマーストーリーの目標(ゴール)は設定した予算の達成率です。(より高い売上と利益)営業活動の効果効率という意味で費用対効果(ROI)を判断するためには、売上に対する営業費(営業活動にかける費用)の比率(% of Sales=販売費÷売上、下がっているほうが良い)や、営業がターゲットとする1アカウントあたりの売上(Sales/アカウント=売上(利益)÷アカウント数、あがっているほうが良い)、営業マン1人あたりの売上(Sales/Head、高いほうが良い)、売上/総労働時間等(高いほうが良い)のKPIがあります。また各営業マンの活動の効果を図るために、QDQ(質・方向・量)を計測する場合もあります。

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ターゲット顧客をリスト化→アプローチして提案へ

全体の流れの次は、カスタマーストーリーのそれぞれのプロセス(ステップ)について考えます。1つ目のプロセスは市場から狙うべきターゲット顧客をリスト化して、アプローチして初回提案するというプロセスです。(握手がプロセス)

  • プロセス定義:
    • リストというのは、選ばれた潜在的顧客(プロスペクト)・既存顧客(拡大余地あり)の会社名とサイト名(例〇〇営業所や〇〇工場)、担当者名、役職、職種、コンタクト先(住所、電話番号、メールアドレス)といったリスト一覧です。すべてをリストにするのではなくリストの定義とタ^ゲットの設定を明確にしてスクリーニング(絞り込み)を行います。        
    • 提案とは、リストに対して電話やメールでアポイントメントを取り、訪問等を行い初回の提案をすることです。ここでは会社概要、サービスといった基本的情報と自社が顧客に提供できる価値(サクセスストーリー)などを説明すると同時に、今の課題や取り組みBANTCHなどのヒヤリングを行い、次回の提案の基礎となる情報を収集します。
  • 行動:リストから提案にいくための営業マンの行動は、リストの定義の明確化(品質の確保)と効率的なアポイント取りです。リストはスクリーニングのルールを決め(デジタル、人的)可能性のあるリストに絞り込む必要があります。アポイントはアポイントを取る方法(スクリプト)を決め、時間を確保し効果的効率的に行います。提案はカスタマーの問題を理解し価値提供をし顧客の成功をイメージさせるサクセスストーリーが必要です。
  • 目標(ゴール、KGI)と判断基準(KPI) :現状からあるべき姿を実現するために、本プロセス(リスト→提案)の適正なゴール(数値)を設定します。目標に対して結果はどうなっているかを判断するための判断基準(KPI)はリスト数と提案数、コンバージョン率(CV率=提案数/リスト数)です。これを提案力ということができます。

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初回提案から案件化へ

カスタマーストーリーの2つ目のプロセスは提案から案件化するプロセスです。

  • プロセス定義:
    • 提案の定義は、前述のとおりです。
    • 案件化とは、提案とヒヤリングの結果、大きな売上が立つ可能性のある商談・話合いを“案件“と判断し登録することです。これにより集中すべき大きな可能性のある案件を明確にし、そこにリソースを集中することで最大効果効率の営業活動を行います。
  • 行動: 提案から案件化に行くための営業マンの行動は、相手の立場に立った価値の提案(サクセスストーリー)とヒヤリングによる精度の高い情報収集、案件の定義の明確化です。サクセスストーリーは提案の成功のカギとなります。(サクセスストーリーの作成手順参照)案件化は、案件の定義と必要情報を決めルールにそって登録しなければなりません。例えば金額がとても小さいもの、受注に至る可能性がほとんどないものなどを案件化すると、案件の数ばかりが増えてリソースを重要案件に割くことができなくなり営業効率が下がります。
  • 目標(ゴール、KGI)と判断基準(KPI) :現状からあるべき姿を実現するために、本プロセス(提案→案件化)の適正なゴール(数値)を設定します。目標に対して結果はどうなっているかを判断するための判断基準(KPI)は提案数と案件数、コンバージョン率(CV率=案件数/提案数)です。これを交渉力のレベルということができます。

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案件化から見積りへ

カスタマーストーリーの3つ目のプロセスは、案件をフォローし、顧客の悩みから個別の再提案と見積りの提示を行うプロセスです。

  • プロセス定義:
    • 案件化の定義は、前述のとおりです。
    • 見積りとは提案内容を実現するための価格提示ですが、初めから価格の話をしてはいけません。情報をベースとして問題を提起し、問題の本質を示してから解決策を提案します。価格は最後です。価格の話を初めの段階ですると価格の話で終始し価値の話ができなくなる場合があります。(サクセスストーリーの構成と提案の流れ参照)
  • 行動: 案件から見積りに行く営業マンの行動は、興味をそそるフォローアップと、精度の高い情報収集から策定した相手の立場に立った顧客が成功するための価値の提案(サクセスストーリー)です。ここでは初回提案での一般的な内容ではなく顧客の個別の悩みにもとづいたサクセスストーリーを提案します。データに基づいた論理的な実施した場合に得られる利益(ベネフィット)、過去の成功事例や、提案内容によってはデモなども効果でしょう。先方が選択できるよう松竹梅的なプランを用意しても良いかもしれません。
  • 目標(ゴール、KGI)と判断基準(KPI) :現状からあるべき姿を実現するために、本プロセス(案件化→見積り)の適正なゴール(数値)を設定します。目標に対して結果はどうなっているかを判断するための判断基準(KPI)は案件数と見積り数、コンバージョン率(CV率=見積り数/案件数)です。これをフォロー力のレベルということができます。

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提案を受注に変えてクロージンする

カスタマーストーリーの4つ目のプロセスは、提案と見積りの提示を受注し売上をあげ案件をクローズするプロセスです。

  • プロセス定義:
    • 見積りの定義は、前述のとおりです。
    • 受注とは提案内容と提示した見積もりに同意していただき注文を受けることです。合意して契約をすることです。合意後は納品、請求までをしっかり行ってのクローズしたことになります。
  • 行動: 見積り提示から受注に行くための営業マンの行動は、提案後に内容の評価を受けて、必要な条件・納期・価格などを詰めてお互いに合意をすることです。必要に応じて役員の同行や、先方の状況に応じた再提案なども必要になります。カスタマーストーリーは受注を頂いて終わりではありません。正確に受注処理を行い、約束した納期に約束した内容の商品やサービスを納品し請求して売上をたて回収するまでが営業の仕事です。また売った後もカスタマーの判断の正当性を確認したり、成功事例として発信したり、紹介をしていただいたりといったフォローを行い次の展開につなげていきます。
  • 目標(ゴール、KGI)と判断基準(KPI) :現状からあるべき姿を実現するために、本プロセス(見積り→受注)の適正なゴール(数値)を設定します。目標に対して結果はどうなっているかを判断するための判断基準(KPI)はカスタマー数とプロスペクト数、コンバージョン率(CV率=受注数/見積り数)です。これをクローズ力のレベルということができます。

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以上が、カスタマーストーリーです。プロセスとデータで営業活動の費用対効果を最大限まで高め、価値を提供し売上をあげる攻めの営業の仕組みです。

カスタマーストーリーを構築する方法については、以下、継続的改善カスタマーストーリーの作り方【概要】を参照してください。継続的改善カスタマーストーリーも継続的改善マーケティング戦略同様に、DMAIC手法を使って考えます。今のカスタマーストーリーの現状を理解して、あるべき姿のカスタマーストーリーを作り継続的に改善します。

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