売上を分解すると理由が見える
- 売上を分解するとは、売上を顧客数と単価と頻度に分解することです
- それにより、顧客、単価、頻度のどこに問題があるのかを絞り込み改善することができます
詳しくは以下のコラムで
どうして予算を達成したのか?
企業には達成すべき目標があります。どんな企業にも予算があります。あなたの会社は今年の予算をが達成できたでしょうか。もし達成したなら、なぜ達成できたのでしょうか。もし残念ながら達成できなかったなら、なぜ届かなかったのでしょうか。
企業が売上を決める要因に分解することで、理由が見えてきます。予算達成や業績に影響を及ぼす要因には、外的要因と内的な要因があります。外的要因は企業の外でおこっている変化、内的要因は企業の内でおこっている変化です。外的要因は企業自身がコントロールするのが難しく、内的要因は企業自身でコントロールをが可能な部分です。
ここでは売上をコントロールが可能な内的要因、「誰に」、「何を」、「どうやって」価値を提供しているのか」という部分を分解してみましょう。
売上を顧客の動きで分解する
売上の分解方法にはいくつかありますが、ここでは私がB2Bネット通販のマーケティングヘッドだった時から今に至るまで実際に実践している方法をお伝えします。顧客の動きから売上を分解する方法で覚えるととても便利です。年間の売上は以下の3つに分解できます。
- 顧客数(一年間に一度以上、商品やサービスの購入をした人)
- 平均購入単価(AOV:Avarage Order Value)
- 平均購入頻度(AOF:Avarage Order Frequency)
つまり売上=顧客数×平均購入単価×平均購入頻度という式が成り立ちます。
そして顧客数、平均購入単価、平均購入頻度は以下の式で求められます。
- 顧客数=既存顧客数+新規顧客数(新規顧客数+復活顧客数)-離脱顧客数
- 平均購入単価(AOV:Avarage Order Value)=年間売上÷年間総注文数
- 平均購入頻度(AOF:Avarage Order Frequency=年間総注文数÷顧客数
少し気をつけなければならないので顧客数の定義です。顧客数というのは厳密にいうと年初から年末までの期間(ある期間内の)で見た場合の顧客数です。以下の図でをみてください。
- Aさんは、購既存顧客(過去購入あり、1年以内に購入あり)
- Bさんは新規顧客(1年以内に初めての購入)
- Cさんは離脱顧客(過去購入あり、1年以内に購入なし)
- Dさんは復活顧客(過去購入あり、1年以上購入なし(休眠後)、1年以内に再び購入)
顧客の状況は常に変わっていきますので、このように定義をしっかり決めて毎月定期的に確認していくことが大切です。
分解した売上をどのように読むか
整理すると以下の図ようになります。このように分解することによって、売上が顧客数、購入単価、購入頻度のどの要因にもっとも影響されているかを知ることが出来ます。
売上=顧客数×平均購入単価(AOV)×平均購入頻度(AOF)です。
顧客数は、主に「誰が」であり、顧客が減っているのか増えているのか、なぜなのかといった要因が見えてきます。購入単価は「何を」であり、どのような種類の商品がどのくらい買われているのかが見えてきます。購入頻度は「どうやって」であり、顧客の買う頻度から行動が見えてきます。頻度が高い顧客のほうがロイヤリティが高いと判断できます。
顧客数、平均購入単価(AOV)、平均購入頻度(AOF)ともに増加すれば売上を増加させ、減少すれば売上を減少させることになります。まずはここから大枠でパフォーマンスを理解しましょう。
ちなみに平均購入単価(AOV)と平均購入頻度(AOF)も以下のように分解できます。
- 平均購入単価(AOV)は、平均購入ライン数(LPO:Line Per Order)と平均購入ライン単価(VPR:Value Per Line)に分けることができます。
- 平均購入頻度(AOF)は新規顧客の平均購入頻度と既存顧客の平均購入頻度に分けることができます。新規顧客の平均購入頻度は既存顧客よりも通常低くなります。
平均購入ライン数(LPO:Line Per Order)と平均購入ライン単価(VPR:Value Per Line)に関しては、少しわかりにくいと思うので補足説明します。以下の図は顧客からの注文書です。
平均購入ライン数(LPO:Line Per Order)というのは、1回の注文書当たりのライン数です。つまりでのくらい多い(少ない)商品の種類を買っているかということがわかります。平均購入ライン単価(VPR:Value Per Line)はラインあたりの平均単価であり、1ラインあたりはどのくらいの金額かがわかります。
1回の注文でより多くの種類の商品を買ってもらう事が出来れば平均購入ライン数(LPO)は上昇し、1注文でより高価な商品をより多く買ってもらう事が出来ればと平均購入ライン単価(VPR:Value Per Line)が上昇します。
データから原因を発見する
では売上を顧客数×平均購入単価×平均購入単価に分解し、どのように活用するかについて説明します。例えば今年の売上は増えたとします。そして売上=顧客数×平均購入単価×平均購入単価を見た際に以下のようになっていたとしましょう。
- 顧客数 ↑上昇
- 平均購入単価 →横ばい
- 平均購入頻度 →横ばい
この場合は、顧客数が売上を伸ばした要因だという事がわかります。
- 顧客数 →横ばい
- 平均購入単価 ↑上昇
- 平均購入頻度 →横ばい
この場合は、平均購入単価が売上を伸ばした要因だという事がわかります。つまり買う種類が増えたか、単価が上がったか、量が増えたかです。
- 顧客数 →横ばい
- 平均購入単価 →横ばい
- 平均購入頻度 ↑上昇
この場合は、平均購入頻度が売上を伸ばした要因だという事がわかります。つまり買う回数がが増えたといいうことで、お客様のロイヤリティがあがった、関係がよくなった、ファンが増えたというようなことが推定できます。
大枠でつかんだら次のレベルに行きます。
例えば以下の最初のバターンで顧客数が要因とわかった場合は、顧客数を更に分解します。
- 顧客数 ↑上昇
- 平均購入単価 →横ばい
- 平均購入頻度 →横ばい
前述のように顧客数は以下の式で表せます。
- 顧客数=既存顧客数+新規顧客数(新規顧客数+復活顧客数)-離脱顧客数
ですから全体の顧客数が増えたのは、新規顧客(もしくは復活顧客)が増えたのか、離脱顧客が減ったのかどちらかの理由になります。
新規顧客が増えたのか、離脱顧客が減ったのかを確かめるために、下の左の図、月別の新規顧客数(青い折れ線)と離脱顧客数(ピンクの折れ線)の推移をみてみましょう。
この図では新規顧客数が離脱顧客数よりも常に上回っており、このような傾向の場合は、右のグラフように全体の顧客数が年を追うごとに右肩上がりで増えていく良い傾向といえます。良くないのは新規顧客数が下降傾向になること、反対に離脱顧客数が上昇傾向になることです。
更に要注意なのは、新規顧客数を離脱顧客数が上回ったときです。もし新規顧客数が離脱顧客数より少なくなているのであれば、全体の顧客数が減っ行くということです。この場合、何が起きているのかを理解して根本原因を理解し改善策を打たねばなりません。
顧客数に関してB2Bビジネスでは、もうひとつ注意すべきことがあります。それは顧客にはカンパニー(アカウント)単位とサイト単位とコンタクト単位があるという事です。新規顧客にも離脱顧客にもカンパニー単位とサイト単位とコンタクト単位があるので、その両方をみなければいけませんし、どの単位でいっているかによって数も変ってきます。下の図をみてください。
Aという企業があるとします。本社はAであり、Bという営業所とCという事務所とDという工場があり、それぞれの営業所・事務所・工場で人が働いています。この場合、
- カンパニー(アカウント)単位 - 企業単位、この例では1社
- サイト単位 - 営業所や事務所や工場などの異なる住所(サイト)の単位、この例では4サイト
- コンタクト単位 - 企業に働く個人の単位、この例では4サイトに各16人がいるのでで64人
例えば新規顧客を見る場合には、サイト単位でみると増えていても、コンタクト単位でみると減っているという事も起きます。またこのようなことから、新規顧客であっても以下のような種類があります。
- 新規コンタクト in 既存サイト-今まで購入のあったサイトではじめて買ったコンタクト(人)ができた
- 新規コンタクト in 新規サイト-今まで購入がなかったサイトからはじめて買ったコンタクト(人)ができた
新規コンタクト in 既存サイトは、サイト内の顧客数が増えたという事であり、新規コンタクト in 新規サイトは純粋にサイトが増えたという事で同じ新規コンタクトでも意味合いが違ってきます。
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さらにプロセスとデータで原因を発見する
では新規顧客数が下降傾向になっている場合、いったい何を見てどう改善すればいいのでしょうか。
ここで見るべきはカスタマージャーニーというプロセスです。カスタマージャーニーとは新規顧客獲得のプロセスです。以下がカスタマージャーニーのプロセスですが、このプロセスの何が悪いのかをみて改善を行います。
つまり認知者数が減ったのか、全リード数が減ったのか、プロスペクト数がへったのか、その理由は絶対数が減ったのか、コンバージョン率(CV率)が下がったのかといった点を見ていきます。そしてカスタマージャーニーの流れを詰まらせているボトルネックを発見します。
問題が発見出来たら根本原因をみつけ、根本原因を取り除く適切な改善を行います。詳しくは「カスタマージャーニー」と「カスタマージャーニーの問題点発見のポイント」のコラムを参照して下さい。
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まとめ(売上を分解すると理由が見える)
売上は、顧客数、平均購入単価、平均購入単価に分解できます。まずはこの3つのどれが売上に影響しているか要因を特定します。
要因を特定出来たら更に分解していきます。顧客数の場合であれば新規顧客が増えているか離脱顧客が増えているのかを判断します。平均購入単価、平均購入単価あ要因の場合でも同じように更に分解します。例えば新規顧客の獲得に問題があるのなら、さらにカスタマージャーニーのプロセスをみて問題を発見し、根本原因をみつけ改善策を打ちます。
顧客数と単価と頻度を見ながらしてバランスを良く改善することで最大効果最大効率のマーケティング活動を実践することができます。
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