価値を伝えるマーケティングメッセージ

- マーケティングメッセージは、独自の価値を伝えるシンプルなメッセージだ
- 響くマーケティングメッセージを様々なメディアや方法で伝えターゲットを引き寄せる
詳しくは以下のコラムで
マーケティングメッセージとは
マーケティングメッセージとは、企業が顧客に提供する独自の価値をシンプルに表したメッセージです。企業が伝えたいメッセージをただ伝えるのではなく、顧客の視点から見て意味ある価値を魅力的に伝えなければ効果はでません。
効果的なマーケティングメッセージに必要なものは、
- メッセージを届けるべきターゲット
- 提供する価値の提案であるオファー
- オファーの価値を魅力的に表現したコピーライティングやビジュアルなどのクリエイティブ
- そしてメッセージを届けるチャネル・メディアの選定やタイミング
などであり、これらの要素がバランスよく計画された場合に、最大の効果がでます。

ターゲッティングが50%、オファーが30%、クリエイティブが20%程度影響するといわれます。
私の経験からの感覚ではさらに20%程度でメディアの選択と連動【組合せ)、タイミングなどマーケティングコミュニケーションミックスの構成が影響すると思います。
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バリュープロポジションがメッセージの基本
マーケティングメッセージの本質はバリュープロポジション(価値提案)にあります。バリュープロポジション(価値提案)とは自社にあって競合にない独自の価値提案のことです。下の図で説明するとわかりやすいかもしれません。
左下の青い円が「自社が提供できる価値」、中央の赤い円が「競合他社が提供できる価値」、右下の黄色い円が「顧客が望んでいる価値」です。Value Proposition(価値提案)とは、青い円「自社が提供できる価値」と、黄色い円「顧客が望んでいる価値」の二つの円のみが重なっている部分になります。

つまりバリュープロポジションは、競合他社には提供できないが、自社には提供できる且つ顧客が望んでいる価値であり、企業が競合に勝つための差別化された価値提案です。それは単なる商品・サーボスのみならずマーケティングミックスによって創りだされる、「顧客が価値として感じるもの全て」です。このバリュープロポジション(価値提案)をシンプルに示したものがマーケティングメッセージなのです。
バリュープロポジション(価値提案)の例
バリュープロポジションは「顧客が価値として感じるもの全て」という意味は、バリュープロポジションはとは多くの場合、単なる一つの価値ではなく価値が組みあわさって出来ているということです。
以下は、私が以前に書き出した工業用部品の通販会社の価値の組合せです。ここではバリュープロポジションをTIME(時間)、SERVICE(サービス)、RELIABILITY(信頼)の3つのグループに分けて考えています。
TIME(時間)主に時間の節約のための仕組みで、幅広い商品レンジ、電子カタログやeコマース、見積サービス、翌日配送などがあります。
SERVICE(サービス)とは品質やコスト削減ための仕組みで、組立加工、計算ツール、テクニカルサポートなどがあります。
そしてRELIABILITY(信頼)とは安全や環境といった信頼の仕組みで、ワールドワイドのグローバルの事業体制、保証、最先端技術、環境マネジメント対応などがあります。

このようにバリュープロポジションとは自社にあって競合にない独自の価値提案が組み合わさって構成されているのです。
USP(Unique Selling Proposition)で価値を切れよく短く表す
このようにの価値提案が組みあわさって構成されているバリュープロポジション(価値提案)ですが、長々と説明しなくてはならないとなると、いろいろと不都合です。長すぎるメッセージはインパクトが弱いばかりでなく、覚えにくいので人から人へと伝わる力も弱いのです。そこでシンプルでインパクトがあり伝えやすいマーケティングメッセージが必要なのです。
顧客の視点から見て意味ある価値をシンプルにいい表したものがUSP(Unique Selling Proposition)であり、 独自の売りを魅力的にシンプルに伝えるメッセージになります。USPの例として有名なのがドミノピザです。
「ホットでフレッシュなピザを30分以内にお届けします。もし30分以上かかったら、ピザの料金はいただきません」当時、すでに30分以内にピザを届ける宅配業者は存在していましたが、明確に「30分以内にお届け」とうたったのはドミノピザが初めてでした。このメッセージが、ピザの到着時間に対して不満をもつ多くの顧客の心を捉え、ピザ宅配業界のトップの地位を築きあげたのです。
USPは単なるキャッチフレーズではなく、実際に企業の持つユニークな価値を能わしたものです。ですから実行できなくては逆効果になるのはいうまでもありません。ドミノピザの場合であれば、いつも30分以上かかって無料にしていては意味がないのです。
私が実際に使ったマーケティングメッセージの例
実際に私が経験したマーケティングメッセージの成功例を紹介します。
私は1998年にある欧州の工業用部品の通販会社の立上げにマーケティングマネージャーとして参加しました。ターゲットは企業の商品・サービスなどを研究開発するエンジニアでした。
エンジニアというのは研究開発をする過程において様々な種類の部品を少しだけすぐに欲しいというニーズがあるのですが、部品が必要になると、秋葉原ななどの部品を売っている場所に出かけていって、足で歩いて探して買ってこなければなりません。
研究開発のスケジュールに追われる中で、自ら出かけて買うというのは時間もかかりますし結構な労力でした。しかも部品によっては100個からしか売らないというようなロット販売のものもあり、たった1個でいいのに100個買わないといけないということもあります。移動して探す時間もコストも無駄が多かったのです。
このエンジニアの悩みに目をつけたのがこの通販会社のサービスで、約3万店の電子部品を常時在庫し注文すると1個から翌日に配送するというものでした。当時はまだカタログ・ネット通販というのも珍しく、また電子部品などの部品を売るB2B企業でしたので、サービス自体がとてもユニークであり競合もあまりありませんでした。その工業用部品の通販会社の立上げをの際に、私たちが作ったマーケティングメッセージが以下です。
エンジニアの新発見
- Wide Range - 約25,000点を常時在庫!!
- No order too small - 部品1つから、小ロット注文OK!!
- Quick delivery - 18時までのご注文は即日出荷!!
このマーケティングメッセージをエンジニア層に向けて一斉に伝えました。このマーケティングメッセージはターゲット層であるエンジニアに響きました。結果、ダイレクトマーケティングを使って数万の顧客を獲得することができ大成功できました。
マーケティングメッセージが良くなかったらこの成功はなかったと思います。いくら商品やサービス自体がとても良くても、それがターゲットに上手く伝われなければ売れません。
これは、つまり〇〇だ
マーケティングメッセージは、企業が顧客に提供する独自の価値をシンプルに表したメッセージです。バリュープロポジション(価値提案)を顧客視点で端的に表した魅力的なメッセージです。
マーケティングメッセージやキャッチフレーズを考える際に、私がする方法があります。それは、「これはつまり〇〇だ」の〇〇に文字をいれるのです。
今では当たり前のウォシュレットという商品があります。とても画期的な商品でしたが説明するのは、なかなか難しい商品でもあります。そこでこの商品の販売開始のために生まれたコピーが「お尻だって洗ってほしい」でした。このコピーでウォシュレットは爆発的にヒットすることができました。
おわかりでしょうか?「ウォシュレットはつまり、“お尻のシャワーだ」ということなのです。
「これはつまり〇〇だ」、結構使えますよ。
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