2×2マトリクス法で新しいアイデアを引き出す

- 2×2マトリクス法とは、2軸でアイデアをひねり出す方法です
- それにより現状分析、方向性決め、新しいアイデアを引き出すことができます
詳しくは以下のコラムで
新しいアイデアを生む
現状認識から問題点を発見して、その根本原因から改善案を作ることはとても役に立ちます。ただ今の状態をを基本にして考えるために、多くの場合は過去からの発想になってしまうのが弱点です。
そこで今まで、つまり過去からの発想ではないアイデアを生む必要もでてきます。皆で智慧を絞ることで今までには考えつかなかったような素晴らしいアイデアがでてくるかもしれません。
新しいアイデアを生み出すためには、一生懸命うーんうーんと考えてもなかなか難しかもしれません。そこで強制的にアイデアを発想する方法を使います。強制発想法には以下のような方法があります。
ここでは、2×2マトリクス法についてお話ししたいと思います。
2×2マトリクス法とは
マトリクス法とは、あるテーマについて、関連する情報を縦軸と横軸に分類して、それらの相関関係やポジショニングを考える方法です。分割する数は3×3や2×2などがありますが、シンプルで良く使われる2×2マトリクスで考えていきましょう。
2×2マトリクスは、シンプルですが情報整理や考えを整理するのにとても役に立つ方法で、現状の分析や今後の方向性や考え方などに使うことができます。まずは2×2マトリクスを使った有名な事例をみていきましょう。
- プロダクト・ポートフォリオ マトリクス
BCG(ボストンコンサルティンググループ)によって考えられた商品や事業などの管理方法で、横軸に「市場占有率」、縦軸に「市場成長率」をとった2×2のマトリックスです。自社の商品や事業を金のなる木、花形、問題児、花形、負け犬の4つのカテゴリに分け、それぞれのカテゴリで今後の動向と収益性を考え、経営資源の配分を決定するなどの経営判断を行うための考え方であり、その頭文字をとってPPM(product portfolio matrixの略)ということもあります。

- アンゾフマトリクス
アンゾフマトリクスとは、アンゾフ氏によって考案された企業の成長や拡大をどのように考えて行っていくかという時のサポートになるマトリックスです。「市場(顧客)」と「商品(サービス)」を2軸において、どのように成長するかを考えることから、「アンゾフの成長マトリックス」とか「商品市場マトリックス」と呼ばれることもあります。アンゾフマトリックスは、市場×商品で成長や拡大の機会を発見するツールであり、それぞれの成長機会のリスクやメリットを確認して、方向性を決める助けになります。

■関連コラム
- 時間管理のマトリクス
スティーブン・R・コヴィーのベストセラーである”7つの習慣”には、”時間管理のマトリクス”とよばれるものがでてきます。時間管理のマトリクスは、縦軸に「重要度」、横軸に「緊急度」をとることによって、人の時間の使い方を整理しています。
このマトリクスで考えることにより、私たちはクレームの処理などの緊急度が高いことに意識が向いて時間を使いがちだということに気がつきます。でも本当は緊急度が低くても重要度が高いものに時間を使うほうが、使った時間に対して得られる効果は大きいのです。ビジネスの世界でいえば、緊急度が低くても重要度が高いものは戦略の立案や人材育成などになります。戦略や人材育成は重要度が高いが今日明日に必要ということではありません。でも実は考えて実行するには時間がかかるからこそ、はやめに手をつける必要があるのです。
材育成などになります。戦略や人材育成は重要度が高いが今日明日に必要ということではありません。でも実は考えて実行するには時間がかかるからこそ、はやめに手をつける必要があるのです。

アイデアを発想する
このように2×2マトリクス法によって、情報整理や考えを整理することができます。考え方を整理できる有名な2×2マトリクス法がたくさんありましたが、実はこの2×2マトリクス法は新しいアイデアを強制的に発想する方法としても活用できます。
新しいアイデアを強制的に発想するには、まずは検討したいテーマにあわせて2つの軸をとりましょう。2つの軸の組み合わせが変わることで得られるアイデアが変化しますので、考えられる軸の候補をたくさんリストアップして、その中からできるだけ異なる要素の軸を2つ選びます。2つの軸を選んだら、そこから4つのカテゴリにあてはまるものは何かを考えていきます。マトリクス法は大勢で行うこともできますが、1人で行うこともできます。
では実際にやってみましょう
2つの軸を選んだら、そこから4つのカテゴリにあてはまるものは何かを、それぞれ強制的にアイデアを発想していきます。4つに絞り込んで考えることで、それまで気づかなかったアイデアの発想を生むことができます。
発想したアイデアはそのまま書きとめ、その中でよいアイデアをピックアップしていきます。
例えば以下は、英会話ビジネスについて考えたものです。手軽さが高いか低いか(手軽/手軽でない)を縦軸に、顧客密着度が高いか低いか(密着する/密着しない)を横軸に選んで、4つのカテゴリにあてはまるものを考えていきます。
①のカテゴリは、密着度が高くて手軽であるので、Webを使ったオンラインレッスン
②のカテゴリは、密着度が低く手軽なので、動画や音声による自分で学ぶレッスン
③のカテゴリは、密着度が高くて手軽ではないなので、対面レッスン
④のカテゴリは、密着度も手軽度も低いので、文書添削形レッスン
どうでしょうか?マトリクスのどこが良いとか悪いのかというのではなく、現状はどのようなやり方をしているのか、これから進む方向性はどこなのかといったことを考える助けになります。

次に同じような軸で以前にカスタマーサービスの方向性にについて考えたことがありました。2軸は同様に、手軽さが高いか低いか(手軽/手軽でない)を縦軸に、顧客密着度が高いか低いか(密着する/密着しない)を横軸に選んで、4つのカテゴリにあてはまるものを考えていきます。
①のカテゴリは、密着度が高くて手軽であるので、電話・チャット・Eコマースによるサービス
②のカテゴリは、密着度が低く手軽なので、動画やFAQによるサービス
③のカテゴリは、密着度が高くて手軽ではないので、訪問サービス
④のカテゴリは、密着度も手軽度も低いので、説明書やカタログ

このように考えることで、新たに提供するサービスや誰に対してサービスを行うかなどとの方向性を考えることができます。訪問でのカスタマーサービスはコストがかかるので誰にでも提供することは難しいでしょう。優良顧客のみの特別サービスです。一方で、カバーする範囲を高めるために手軽さが高いサービスをもっと提供したほうがよいかもしれません。
2×2マトリクス法のポイント
2×2マトリクス法をするうえで、ポイントとなる点は2つあります。
1つめは、必ず4つのカテゴリを必ず埋めるという点です。ちょっと不可能かなと思われるカテゴリがあっても強制的にアイデアを発想してうめることで新しい知見を得ることが可能になります。
2つめは、軸をどんどん考えて入れ替えてアイデアを発想するという点です。
なるべく多くの視点からの発想を行うことで、今まで考えつかなかったアイデアが生まれることもあるので、軸をたくさんだして、よさそうな2軸に対して時間を決めて考えてアイデアをだすようにすると良いと思います。
ちなみに以下はアップルコンピューターでスティーブジョブスが行った商品マトリクスです。
こうすることで考え方が整理されたそうですが、確かにわかりやすいですね。

2×2マトリクス法のテンプレート
2×2マトリクス法は、情報や現状や将来の考え方を整理したり、アイデアを発想したりするシンプルで強力なツールですので、ぜひ行ってみてください。実際に自分で考えることによって軸の選び方やカテゴリで強制的にアイデアを発想することができるようになってきます。
2軸の選択では、対立する2つの概念を多くあげる必要があります。例えば、
B2B⇔B2C、簡単⇔複雑、攻め⇒守り、ネガティブ⇔ポジティブ、マニュアル⇔自動、強い⇔弱い、効果⇔安価、男性的⇔女性的、感性⇔理論、グローバル⇔ローカル、具体的⇔抽象的 などなど。
テーマに関連する、いろいろな軸を考えて試してみましょう。良いヒントが得られたらメモをしておくなどして残しておきましょう。発想法を身につけることでイノベーティブな発想を生むことができるようになるばかりか、仕事の幅が広がったり、戦略的な思考が強まったり、説得力が高まったりするかもしれません。
テンプレートを用意しましたので使ってみてください。良いヒントを得られる組み合わせを見つけたら、忘れずに記録しておきましょう。

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