二軸、三軸で進む方向と打ち手を示す

  • 二軸、三軸で進む方向と打ち手を示すとは、戦略を視覚化しイメージすることです
  • それにより、戦略の打ち手の具体的な実行プランをつくって実行することができます

詳しくは以下のコラムで

マーケティング戦略を視覚的にイメージする

マーケティング戦略をつくったら、それで終わりではありません。実はここからがはじまりです。

実行するという作業があるからです。どんな良い戦略も実行できなければ全く意味がありません。

そしてマーケティング戦略を効果的に実行するためには、具体的な実行プランを視覚的にイメージして共有することが必要です。「誰に」「何を」「どうやって」価値を提供して対価をもらうのか、そのためにどのようなことを実行すべきかを視覚的にイメージする方法を考えてみましょう。複雑な内容を視覚的にシンプルにイメージするのがポイントです。

差別化するポジショニングとマーケティングミックス

良いマーケティング戦略は、競合との差別化が明確でメリハリが効いており独自性があります。つまりターゲット顧客視点で見たときに、自社を競合に対して優位なポジションに位置づけ、そのポジションにおいて最適なマーケティングミックスをつくることが重要になります。そこで戦略のコアを視覚的にシンプルにイメージするために、競合との差別化、ポジショニングという視点で考えてみましょう。

ここで少しポジショニングの説明をします。下の図のブルーの部分はセグメンテーションからターゲッティングをおこなった標的市場です。この標的市場のなかで自社はどの位置にくるかを考えます。下図では縦軸が価格で横軸が機能性としています。ここでA社、B社、C社という競合が存在するときに、あなたの会社がどのような位置で戦うかを決めるのがポジショニングです。決めたセグメントで、どう差別化し独自の価値をつくり競争に勝つかを考えます。

どの競合もいない左下のポジションを狙うのであれば、低価格で低性能の市場ということになります。高年齢者をターゲットにしたボタンが少ない携帯電話のように、ターゲットをぐっと絞り込み、機能もぐっと絞ることで低価格で低機能の位置を取ることができるかもしれません。自社の経営資源を見た際に、そのような市場を狙い効果的なマーケティングミックスができるのかがポイントです。

この市場を狙うといった場合は、低機能というマイナスイメージな表現は避けて、横軸は機能性ではなくて「操作の簡単さ」のほうが良いですね。セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング(STP) の考え方について詳しくは以下のコラムとご参照ください。

■関連コラム

2×2マトリクス法でポジショニングを考える

ポジショニングを明確化させることによってマーケティング戦略をわかりやすくイメージさせることができます。ポジショニングを表すには2×2マトリクス法を使うのが便利です。2×2マトリクス法でマーケティング戦略のコアであるポジショニングをイメージしたうえで打ち手(実行プラン)を示します。

2×2マトリクス法とは、あるテーマについて関連する情報を縦軸と横軸に分類して、それらの相関関係やポジショニングを考える方法です。シンプルに戦略を考えるために使われることも多く、以下はアップルコンピューターでスティーブジョブス氏が行った商品マトリックスと言われています。こうすることで考え方が整理されたそうですが、確かにわかりやすいですね。

2×2マトリクス法について詳しくは以下のコラムをご参照ください。

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二軸で打ち手をイメージする

ここからは、2×2マトリックス法を使って二軸で、マーケティング戦略のコアであるポジショニングと打ち手(実行プラン)を示した事例を紹介します。

以下は、私が過去に作ったカスタマーサービスチームの方向性と打ち手の資料です。

左側の図が、2×2マトリックスになっており、縦軸が手軽さ(ETDBW:Easy To Do Business With)で、横軸が顧客との密着度です。

カスタマーサービスチームは主に受注処理や問合せ対応を行うのですが、進むべき方向として「手軽」だけど「密着度」が高いポジショニングを目指すことにしました。つまりもっとテクノロジーを使いつつ顧客が自分で選んで買って受け取って使ってといったE2Eのセルフサービスを推し進め、同時にいざという時に顧客視点で熱心に対応してくれる簡単で密着度の高いカスタマーサービスを目指そうというメッセージになっています。

この時は、今がCX1.0(Customer Experience 1.0という意味)というレベルだとすると、3年後までにはCX3.0のレベルにまで到達しようという目標を掲げました。(CX1.0や3.0という定義は明確化してあります)

そしてCX3.0へ到達するための打ち手が左側に記載されています。打ち手①は生産性と手軽さの向上、②は顧客接点・密着度強化、③はハイパフォーマンスチーム構築ということで主に人材育成に関することです。

3つの打ち手には、それぞれさらに3つの項目があり、計9つがアクションとして定義されています。これらを実際にはプロジェクト化して進めていきました。

このようにポジショニングと打ち手をイメージすることで、方向性と実行すべきことを、シンプルに1枚に表記ずることができます。

三軸で打ち手をイメージする

ポジショニングと打ち手(実行プラン)を3軸で示した事例もあります。

以下は、私が過去にあるネット通販企業でリードした「3年で売上を70億から100億に伸ばす」ためのプロジェクトの資料です。

今度は平面の2軸ではなくて、立体的な3軸で機会拡大のための3つの方向性を示しました。まず縦軸は市場です。この時は、コスト競争の激しい量産を狙うのではなく、量産前の試作段階の小規模バッチ生産の市場を狙うことによる市場拡大を計画しました。縦軸を上に伸ばしていくようなイメージです。

そして横軸は商品です。ここでいう商品とは商品レンジ、つまり商品点数を飛躍的に増加させることを目指しました。しかし実際に商品を仕入れて在庫を大量に抱えることは投資額が大きくなり、不良在庫をかかえるリスクもあるので、他のサプライヤーと連携して、実際の在庫品を増やすことなく、オンラインでの見た目の商品点数を飛躍的に増やそうとしました。バーチャルプロダクトプレゼンテーションと名付けました。

そして最後が奥行きです。ここでは顧客体験を向上することを掲げました。データをみながらeコマースにおけるコンバージョンレートを高めることに焦点を置きました。

この縦・横・奥行きの3軸に対してそれぞれの打ち手を決めて実行しました。ポジショニングという視点であれば2軸のほうがイメージできるかもしれませんが、3軸にすることで視覚的にも膨らみが出るような気がします。

戦略は将来へのワクワクするような要素をもっていることも大切です。

戦略をプロジェクト化して実行プランに落とし込む

マーケティング戦略のコアであるポジショニングと打ち手(実行プラン)を示してから、最終的には、戦略を実行プランに落とし込みます。

ビジョンとは進むべき方向、あるべき姿です。それを実現するのがマーケティング戦略であり、「誰に」「何を」「どうやって」提供して対価を得るかの仕組みです。

マーケティング戦略が決まったら実行です。進む方向性と打ち手(実行プラン)をコアにしてマーケティング戦略書を作成しましょう。

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