フロントオフィスのシームレスな活動
- フロントオフィスのシームレスな活動とは、カスタマージャーニー、カスタマーストーリー、カスタマーエクスペリエンスの3つのプロセスが互いに切れることなく連携することです
- それにより、継ぎ目のない顧客接点をつくることができます
詳しくは以下のコラムで
フロントオフィスは顧客との接点
フロントオフィスとは、顧客との接点となる部門のことをさします。具体的にいうと市場に対してアプローチをするマーケティングコミュニケーション部門、価値を提案する営業部門、電話やメールやチャットなどで問合せに対応するカスタマーサービスやテクニカルサービスといった部門などです。また広い意味ではeコマースサイトにおける商品を探す際の検索機能や比較機能、在庫や価格確認、注文した商品を追跡するパーセルトラッカーといわれるような機能も含まれます。
フロントオフィスの活動は、顧客から見た際に対応部門の違いによる隔たりや対応の質の違いを感じることなく、一貫性のある質の高いコミュニケーションができていることが重要です。対応する部門が異なっても、顧客が違和感を覚えることない切れ目を感じさせない対応が望ましいのです。
そしてフロントオフィスの活動をシームレスに行うにはプロセスの最適化が必要です。その上で、それぞれのプロセスに最適なシステムを活用することによってデータを収集し論理的にプロセス改善することができます。
フロントオフィスの活動は大きくカスタマージャーニーという顧客獲得のプロセスと、カスタマーストーリーという顧客育成のプロセスと、カスタマーエクスペリエンスという顧客維持のプロセスに分けることができます。この3つのプロセスが互いに切れることなく連携することで、まさにシームレス、継ぎ目のない顧客接点をつくることが可能になるのです。それではそれぞれのプロセスと必要な機能、そして使うツールについて考えてきましょう。
カスタマージャーニーのプロセスと必要な機能、それを支えるMA
フロントオフィスの活動をシームレスに行うためのカスタマージャーニー、カスタマーストーリー、カスタマーエクスペリエンスのプロセスと戦略に必要な機能、そして効果的効率的にプロセスを動かすためのツールをまとめたのが下の図です。
図の左から右に向かってフロントオフィスの活動がすすんでいきます。まず一番左がカスタマージャーニーです。カスタマージャーニーとは、認知→リード→プロスペクト→カスタマー→プロモーターという顧客獲得のプロセスです。
「見込み客の獲得」のためには、コミュニケーションミックスによって市場に対して有益なコンテンツを発信しデマンドを刺激しリードや見込み客リストを収集してデータベースに格納する機能が必要です。ここではコミュケーションミックスやデマンドゼネレーション、コンテンツマーケティングといった機能が必要になります。
集めたリストはスコアリングして優良なリストか否かを選別(スクリーニング)します。リストの選別は判断基準をきめ、データによって自動的に選別するデジタルスコアリングを行います。これが「見込み客の選別」です。
次に、選別したリストに対して最適なアプローチを行います。スコアの高いポテンシャルのある優良なリストに対しては電話をかけるなどの人的アプローチを行い、購入する可能性を確かめます。人によるスクリーニングです。一方でポテンシャルがあるかわからないリストに関しては、メールマーケティングによるメール自動配信やコンテンツ配信などの、工数がかからないやり方でナーチャリング(育成)を行います。これがカスタマージャーにおける「見込み客の育成」です。
カスタマージャーニーの流れの中で、見込み客の獲得、選別、育成を顧客獲得に必要となるデータを一元管理することによって最大効果最大効率で顧客獲得を行うためのツールがマーケティングオートメーション(MA:Marketing Automation)です。MAではリードの獲得のためのメディアミックスやコンテンツマーケティングの効果測定、デマンドゼネレーションの為のファネルの構築と運用、カスタマージャーニー各プロセスのデータ数や移行数や移行率(コンバージョン率)などを分析し改善を行いながら運用します。
カスタマーストーリーのプロセスと必要な機能、 それを支えるSFA
獲得した顧客の中には、更に売上を伸ばすことができる可能性のある顧客と成長があまり見込めない顧客がいます。そこでメリハリのあるアプローチが必要になります、つまり潜在的な成長が見込まれる顧客には人的なリソースを使い育成をし、成長の見込みのない顧客に対してはコストのかかる人的リソースを割くことは極力さけ、自動化による対応をします。この顧客の選別と開拓・育成のプロセスがカスタマーストーリーです。(パイプラインという場合もあります)
カスタマーストーリー(顧客育成の仕組み)とは攻めの営業活動のことで、ターゲットにした顧客をリスト化して、提案、案件、案件化、見積り、受注へと最大効果最大効率で攻める営業プロセス(手順)です。
まず潜在的な成長が見込まれるのかそうでないのかの顧客の選別が必要になります。顧客タイプや購買能力、購入金額や頻度などの様々な指標彼選定の定義を決めて「顧客選別」を行います。
顧客を選別したら効果的効率的にアプローチを行います。「顧客育成」とは、今いる既存の顧客に対してリストを作成し→提案→案件→見積→受注へと移行させることです。
「顧客開拓」とは既存の顧客ではない新規の顧客に対して、商品やサービスの価値を提案することで新たなビジネスを作っていくことです。ここでもターゲットとなるリストを作成し、→提案→案件→見積→受注へと移行させます。
「顧客育成」も「顧客開拓」もリスト→提案→案件→見積→受注のプロセスとそれぞれの状況と移行率(コンバージョン)をデータで可視化して管理しながら改善を行っていきます。営業マンの行動も日報として効率的に管理することで効果効率を最大化させます。そのためには成果が出ない案件は見切りをつけて無駄なリソースを割かないということも重要です。
カスタマーストーリーの流れの中で、顧客選別、顧客育成、顧客開拓に必要となるデータを一元管理することによって最大効果最大効率で営業活動を行うためのツールがセールスフォースオートメーション(SFA:Sales Force Automation)です。SFAでは顧客のアカウントやコンタクト情報や購入履歴などの情報を管理し、その上でカスタマーストーリーの各プロセスのデータ数や移行数や移行率(コンバージョン率)などを分析し改善を行いながら運用します。営業マンの行動を案件や日報から管理する機能もSFAに必要な機能になります。
カスタマーエクスペリエンスのプロセスと必要な機能、 それを支えるCRM
フロントオフィスの機能として、見込み客を集め顧客を獲得するカスタマージャーニー、顧客を育成するカスタマーストーリー、そして顧客が購入する際に経験する体験であるカスタマーエクスペリエンスがあります。そしてカスタマーエクスペリエンスの中でも、顧客接点としてのフロントオフィスの連携に重要な役割を担うのが問合せ対応の機能です。
問合せ対応を品質高く効率よく行うには大きく3つのポイントがあります。ひとつは問合せのフローです。問い合わせは電話・メール・チャット・営業マン経由など様々なチャネルからやってきますが、これらのチャネルと問合せの流れ(ハンドリングフロー)を整備してしっかりとしたアクセス計画を立てることが必要になってきます。オムニチャネルに対応した計画が必要なのです。
次にエスカレーション機能です。問合せに対しその場ですぐに回答することが望ましいですが、場合よっては専門の部署に回答を聞く必要や上長に指示を求める場面も出てきます。その場合には、エスカレーションの機能があるとスムーズに問合せを転送したり、指示をもらったり、承認をうけることができます。
そして問合せの履歴をしっかりと残し共有することです。誰がいつどのようなチャネルでどういった問合せをしてどのような回答をしたかということをコンタクト履歴管理システムに記録しておくことで、対応する人が状況を理解し適切に対応することが可能になります。
また問合せの内容をデータとして蓄積することで、良く聞かれる質問をFAQとして掲載することでセルフサービスを促進したり、AIによって蓄積したデータからチャットボットで自動応対を可能にしたりすることで効率を向上させることもできます。
コンタクト履歴管理システムにはさまざまなものがありますが、代表的なものはシーアールエム(CRM:Customer Rerationship Management)システムになります。そしてシーアールシステムには様々なものがあり、最近ではSFAとCRMの両方の機能を備えたシステムもあります。
ここではフロントオフィスという意味で特に問合せ対応について書きましたが、E2Eカスタマーエクスペリエンスを支えるには、E2Eのバックオフィス機能が重要です。顧客が経験する「内容確認→注文→支払→受取→使用開始」という流れを、コンテンツ提供→受注処理→請求入金→受入出荷納品→サポートといったE2Eバックプロセスが支えることで品質の高いE2Eカスタマーエクスペリエンスを可能にするのです。
目的を明確にしてシステムを使う
フロントオフィスの活動で、カスタマージャーニー、カスタマーストーリー、カスタマーエクスペリエンスという3つのプロセスが互いに切れることなく連携することで、まさにシームレス、継ぎ目のない顧客接点をつくることが可能になるのです。
そして多くのデータを収集してそれぞれのプロセスを最適化します。そのため効果的効率的に運用するには、マーケティングオートメーション(MA)、セールフォースオートメーション(SFA)、シーアールエムシステム(CRM)といったツールが必要になってきます。
ただここで気をつけなければならないのは、「システムありきではない」ということです。ツールの目的と役割を明確にして使わないと上手に運用できないので注意が必要です。最初にシステムをいれてみたものの、上手く使えないという企業も多いということも事実です。そうならないためにも、はじめにしっかりとフロントオフィスの活動、カスタマージャーニー、カスタマーストーリー、そしてカスタマーエクスペリエンスの問合せ対応のプロセスそ理解して仕組みを構築しましょう。
フロントオフィスをシームレスに連携させる
一昔前は、マーケティング部門、営業部門、オペレーション部門が独立して動いていたかもしれません。でもデータ化が進んだ今は、もう切り離すことができません。
カスタマージャーニー(顧客獲得)カスタマーストーリー(顧客育成)カスタマーエクスペリエンス(顧客維持)をシームレスに連携させるましょう。そうすることで、プロセスとデータで論理的に効果測定し最大効果最大効率でアウトプットをだすことができます。
そしてそれをサポートするシステムは、その目的と役割を理解してシームレスに統合しましょう。マーケティングオートメーション(MA)、セールスフォースオートメーション(SFA)、シーアールエム(CRM)ツールでフロントオフィスの複数チャネルにおけるデータとプロセスの統合管理と自動化を行っていきましょう。
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