アンゾフのマトリクスで顧客(市場)×サービス(商品)の展開を考える
- アンゾフのマトリクスとは、顧客(市場)×サービス(商品)で成長や拡大の機会を発見するツールだ
- それにより、それぞれの成長機会のリスクやメリットを確認して、方向性を決める
詳しくは以下のコラムで
アンゾフのマトリクスとは
アンゾフのマトリクスとは、アンゾフ氏によって考案された企業の成長や拡大をどのように考えて行っていくかという時のサポートになるマトリクスです。「市場(顧客)」と「商品(サービス)」を2軸において、どのように成長するかを考えることから、「アンゾフの成長マトリクス」とか「商品市場マトリクス」と呼ばれることもあります。アンゾフのマトリクスは成長機会を発見し、それぞれのリスクやメリットを確認するツールです。
以下がアンゾフのマトリクスです。縦軸は市場・顧客で、上側が既存市場であり、下側が新規市場です。横軸は商品・サービスで、左側が既存の商品・サービスであり、右側が新規の商品・サービスになります。ですので以下の4つにエリア分かれます。
既在の市場を拡大するには大きく4つの方向性があります。
①市場浸透
既在の市場を拡大する4つの方向性の1つ目は①の部分です。既存市場・顧客と既存商品・サービスの重なった部分であり、既存市場や顧客に対して、既存の商品やサービスをもっと浸透させることによりビジネスを拡大しようとするものです。顧客の購入頻度や量を増加させる、または現市場に存在するが購入していない顧客を引き入れるといった方法です。最もとりやすい方法であり、リスクは4つの中で最も少ないです。
マーケティングが下手といわれる日本では、この市場浸透の部分が売上の多くを占めている場合が多いです。営業マンは行きやすい既存顧客の訪問に終始し御用聞き営業になってしまうことも多く、情報にあふれ変化の多い今の時代にはこのエリアで戦うには限界があります。
私も歴史のあるB2Bのメーカーでの改革に携わったことがありますが、ブランド力があったり、社歴の古い人が多かったりで、今までのやり方しかできない会社においては、このエリアからの脱却は戦略的にも働く人の意識的にも大きなチャレンジになります。
②新商品開発
既在の市場を拡大する4つの方向性の2つ目は②の部分です。既存市場・顧客と新規商品・サービスの重なった部分であり、既存市場や顧客に対して、新規の商品やサービスを販売することによりビジネスを拡大しようとするものです。
既存市場の浸透率が限界に近づいたら新たな方法を取る必要があります。次に考えるべきはこの新商品の開発の部分です。今いる顧客に販売できる商品を新規に開発することで、既存のコミュニケーション、流通チャネルを利用できることもありリスクはそれほど高くはありません。
新規の商品・サービスを販売するにあたっては、既存の顧客に対しての理解を深め、悩みやニーズをしっかりと理解したうえで新たなポイントを見つけることが必要です。
③新市場開拓
既在の市場を拡大する4つの方向性の3つ目は③の部分です。今度は②とは逆で、既存の商品やサービスを新規の市場・顧客に対して、販売することによりビジネスを拡大しようとするものです。
例えば今までA業界に販売していたものを、新たにB業者に販売するといったことで、新たな市場を開発するコミュニケーションや流通チャネルが必要となりコストがかかる分リスクも高くなります。
新市場のリサーチを行ったり、新たにコミュニケーションのルートを開拓したり、その分野の専門知識をもつ専門家を採用したりする必要があり、難しさのハードルは②よりも高くなります。
④差別的(複数のセグメントに特化したマーケティングミックス
既在の市場を拡大する4つの方向性の4つ目は④の部分です。ここは新たな市場・顧客に対して新たな商品やサービスを投入することになります。リスクは高いですが企業が長期にわたって成長し続ける為にはあるタイミングで多角化が必要になってきます。現在の事業に関連のある分野への参入が相乗効果を生みやすく成功の可能性が高くなります。
新規事業の参入のためのプロジェクトチームをつくり取り組むといったことが必要になります。
長期的なセグメント展開プラン
アンゾフのマトリクスは企業の成長や拡大を考えるためのツールで4つの方向性の話をしましたが、成長のための拡大の進め方には基本的な順番があります。
まずは下の図の左上①の市場浸透です。多くの場合、ここが現状になります。次は青い矢印のように「既存顧客に新たなサービスを提案」に移行していきます。そして次は赤い矢印「既存サービスを新たな顧客に提案」に展開を拡げて、最後が黄色い矢印の「新たなサービスを新たな顧客に提案」による多角化になります。
拡大するにあたっての難易度や必要となる経営資源、競合状況や市場の成長度などから判断して成長戦略を描きましょう。
そしてアンゾフのマトリックスを、既存顧客に既存の商品・サービスを販売する現在のビジネスをどのように展開させるかという視点からかいたのが下の図です。「今からどう展開するか」ということを考えるには、アンゾフマトリックスよりも下のように表すとわかりやすいかもしれません。
「今からどう展開するか」ということは、上の図の上向きのやじるしで表される、既存顧客に対して販売する商品レンジをいかに増やすかということです。今の顧客が購入する商品の幅や深さを拡げればよいわけです。
あるいは上の図の右向きのやじるしで表される、顧客数をいかに増やすかということです。今の商品・サービスを購入してくれる顧客をさがしてくるということです。まずはこの2つの方向の可能性を考えてみましょう。
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