中期戦略と売上目標の決定

- 中期戦略、売上目標の決定とは、あるべき姿に行く方法と数値目標です
- それにより、あるべき姿に行く明確なストーリーを描き全社で前進することができます
詳しくは以下のコラムで
売上目標は必要か?
売上目標のない企業はほとんどないと思います。でもそもそも売上目標はなぜ必要なのでしょうか?
「なんとなく」、「毎年決めることになっているから」、もしかしたらこんな感じかもしれません。
なぜ売上目標が必要なのか?それは進むべき道をはっきりさせるためです。
企業には「あるべき姿」があります。どんな企業になりたいのかということです。そのあるべき姿に向かって成長するために戦略をたてます。あるべき姿に行く方法です。戦略を実行してあるべき姿に近づいていくのです。
どれだけの時間でどれだけあるべき姿に近づくのか、それを顧客に価値提供をした対価としての売上金額で表したものが売上目標です。
売上を上げていくためには、ただ本能のままに行きあたりばったりで行動しても思ったようにいきません。もしかしたら1人、もしくは少人数の場合はそれでも良いかもしれません。でもそれでは例えはじめはうまく行ったとしても、そのうち必ずつまずくでしょう。
なりゆきにまかせて事業を営んでいては、将来にわたって継続的によい成果を生むことはできないのです。
せっかくのビジネスチャンスをものにできないばかりか、急速に変化する経営環境に適応できず、自社の存続さえ危うくなりかねないのです。

企業が成長していくためには、あなたの会社が将来の進むべき目標を明らかにして、その実現のためにどのような対策をとるかを多面的に考えていかなくてはなりません。売上目標をたてあるべき姿に近づいていく戦略のストーリーを立てる必要があります。
あなたの会社の「あるべき姿」に行く方法を具現化した戦略と、それを成し遂げた時に達成するも売上(数値)を目標として設定することが、目的・目標をもった「マーケティング戦略・経営戦略を立てる」ということになります。
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中期戦略・中期目標とは
どれだけの時間でどれだけ「あるべき姿」に近づくのか、あなたの会社の5年後、3年後はどのくらい「あるべき姿」に近づいているでしょうか?
あるべき姿を達成するために長期戦略・中期戦略をつくります。そしてそれを具体的な数値にした売上目標は、大きく「長期目標」「中期目標」「短期目標」の3つに分類できます。
一般的に長期戦略は5~10年単位、中期戦略は3~5年単位で作成します。近年では経営環境の変化が激しいために10年といったスパンの長期戦略がつくられることは少ないかもしれません。まずは3年から5年の「中期戦略・中期目標」をつくりましょう。
中期戦略・中期目標は進捗を確認しながら毎年見直して修正し、さらにその度ごとに1年分追加してつねに3から5年先の戦略が立てられている状態にしておきましょう。年度目標は中長期戦略・目標の初年度に該当するもので、さらに具体的な推進の方法が盛り込まれた実質的な内容になります。
年度目標と比べ中期目標は、希望な部分が大きく、具体的には中長期的な経営方針、つまり○年後までに○名のお客様を獲得したい。○年間で△点、商品生産の効率化○%向上、○年後までに○人雇うというようなプランになるでしょう。
では、中期戦略をとして考えるべきポイントにはどんなものがあるでしょうか。
- 売上げ(Sales)
- 利益(Profitability)*利益の出ない目標はモチベーションもあがりません。
- 生産性(Productivity)の向上
- 競合状況(Competitive position)の改善
- 企業文化や人材の育成
中期戦略・目標の要件
では良い目標とは何でしょうか?良い戦略・目標は以下のような要件を満たしています。
- 必要な条件を満たしている(Acceptable)
- 融通が利く、柔軟性がある(Flexible)
- 測定可能である(Measurable)
- 意欲を高める(Motivating)
- 理解できる(Understandable)
- 達成可能である(Achievable)
中期戦略や目標は全社へのコミュニケーションという側面もあります。
そのためには、どんなあるべき姿になりたいのか、そこへ行くためにどんな戦略を実行していくのかということが、シンプルに論理的に構成されている必要があります。
売上目標の決め方
売上目標の考え方、決め方には大きく3通りあります。
- トップダウン
まずは中長期の売上げ目標、利益目標を達成する為に今年クリアすべき目標と利益を考え、年間目標売上高と年間予定経費を算出していきます。まずはこの程度の売上げと利益をあげるべきという発想から入る為に、トップダウンのアプローチは理想が先行してしまい、現実ばなれしがちな傾向があります。(年間目標売上高-年間目標利益=年間予定経費)
- ボトムアップ
毎月の売上げや経費を具体的に1つ1つ見積もって金額を積み上げていく方法です。売り上げ計画、仕入れ計画、経費計画を過去のトレンドに基づいて算出し、そこから現実的な年間目標売げ高、年間目標利益、年間必要経費を算出します。トップダウンとは反対にボトムアップは得てして消極的になりすぎ発展性のない縮小均衡の目標になりがちです。
(年間目標売上高-年間目標利益=年間必要経費)
- ミックス
トップダウンとボトムアップの両方を考慮したアプローチです。年間目標売上高や目標利益、予定(必要)経費を比較しすり合わせる事で現実に達成可能な成長を描いた事業計画を立案する事ができます。過去の成長率のトレンドを加味して、今後を考える事も役立ちます。ミックスでのアプローチがもっとも好ましいでしょう。
中期戦略で陥りがちな罠
中期戦略をつくり、その初年度に該当する短期目標をきめていきましょう。
ここで中期戦略に関して、陥りがちな罠について考えます。中期戦略をたてて実行しているのに、成果が見られないよう場合には、大きく3つの要因が考えられます。
- 戦略・目標への理解や納得感がない
- 何のための戦略や目標なのかわからなくなった
- 現実味が乏しい
- どうせ実行しないと思っている、実行しないなら作っても仕方ない
- トップから言われたから作っているだけ、自分の戦略ではない
- 先のことなどわからないし、作ってもあまり意味がない
- 計画を実行しない
- 今の仕事が忙しくてできない、誰も協力してくれない
- 実行しても成果があがるように感じない
- 実行しても実行しなくても結局一緒
- いつの間にかみんな計画を忘れている
- 計画の成果がでない、わからない
- 計画にそったアクション・取り組みがそもそもない
- 計画の成果を振り返る機会がない
- 成果が出なくても自分のせいではない
せっかく戦略や目標を作っても、このような状態では意味がありません。この3つの要因に陥らないためにも中期戦略・目標の策定や実行には以下のような点に注意しましょう。
- 戦略や目標への理解や納得感がない
→自社の現状の認識を共有化する
→戦略・目標の考え方や策定プロセスの理解を深める
→戦略・目標の策定に参加する、させる
→わかりやすいストーリーとコミュニケーションプランをつくりコミュニケーションする
- 計画を実行しない
→アクション・取り組み・タイムラインの明確化
→プロジェクトチームの結成とリソースの確保
- 計画の成果がでない、わからない
→KGI/KSF/KPI/KBIの設定
→マネジメントツールの導入
→定期的な進捗管理とコミュニケーション(全体と取り組みごと)
全社が一丸となって取り組むことのできる戦略や目標には、良いストーリーがあります。そのストーリーを実現するために全社が熱意をもって動けるような仕組みをつくり前進しましょう。
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